転移という最高の吊り橋効果 異世界BLの世界|ハマモ
*リンク先が<R18>の作品のものがあります。18歳未満の方はそちらのページへの移動や閲覧をお控えください。
プロジェクトアニマの「異世界・ファンタジー部門」応募締め切りも近づく初夏ですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか? 続々と応募作が集まっている気配を感じつつ、今回は異世界BL作品をご紹介いたします。
ベッドシーンなき人気作
作品名:勇者だった俺は今世こそ平凡な人生を歩む!
作者:りお
異世界で魔王と相打ちになった勇者の俺は、現代日本に転生した。
今度こそ平穏な人生を送るつもりが、転校してきた奴のせいで愛すべき平凡な日常が崩壊する。
私はBL小説をWebで読むよさの一つに、「ベッドシーンが必ずあるとは言えない・いつあるかわからない」というのが結構大きくあると思っています。解説すると、商業BL小説では(基本的に)何度かのベッドシーンがあることがおきまりとなっており、さらにそのシーンはイラストになっていることが多いため、パラパラと読んでいるだけで「あ、このあたりでベッドシーンくるな」というのが察せてしまうのです。焦りがちな私は「この二人はどんなベッドシーンを……」と、我慢できずイラストページから見てしまうこともあります。
この作品は、エブリスタBLランキングの上位をずっとキープしており、ファンも多いのですが、ベッドシーンになかなか行きつきません。魅力的なキャラクターのかけあいが続き、楽しい日常をずっと見られる作品となっています。高校生として転生した魔王と主人公の風景。これは商業BLでは味わえない面白さだと言えます。
異世界で言葉は通じなくていい
作品名:言葉が通じない、ほんとに全く通じない
作者:からすs
URL:https://novel18.syosetu.com/n8797dd/
異世界トリップしたら、本気で言葉が通じなかった! そんな俺と俺を拾ってくれたお兄さんとの幸せペットライフ。
異世界に転生して、その文化に驚き、言語の差に驚き、やがて仲間を作り……それが異世界転生モノの楽しさだというのはわかっておりますが、新しい設定を覚えて読んでくのも疲れてきたな〜、そんなときに出会ったのがこの作品です。
言葉が通じない世界に転生したけれど、努力してもどうしたって意思を通わせることができない。なんとなく庇護されているけど、意図がわからない。そんなときにこの作品の主人公は「諦めて愛される」という選択肢をとります。あらすじでも「ペットライフ」とあるように、犬と人間は古来から仲良く暮らしてきましたが、いまだ言葉を通わせることには成功していません。しかし、同じ家の中でお互いに信頼感をもって生きていくことはできるのです。べつに愛があればわかりあわなくてもいいじゃない! 異世界モノスコップの箸休めにいかがでしょうか。
異世界のパートナー編のこちらも合わせてどうぞ。
作品名:言葉が通じない、ほんとに全く通じない お兄さん視点
作者:からすs
URL:https://novel18.syosetu.com/xs4127a/
男の「運命の嫁」なんてまっぴらだけど、お前は違うと言われればなんかやだ
作品名:異世界で嫁になりました
作者:桐葉
URL:https://novel18.syosetu.com/n7476dp/
気づいたらそこはファンタジーな異世界でした。
だけど召喚主である王子は何やら「お前のはずがない!」と取り乱しています。
どうやらこの召喚には手違いがあったようで…?
しきたりにより運命の嫁を召喚しようとした王子×巻き込まれ系男子
突然異世界に召喚された主人公。異世界の王子の「運命の嫁」として選ばれたらしいけど、王子はなんだか不満げ。主人公の近くにいたかわいいクラスメイト女子と間違えて召喚した気配が濃厚です。最初は男性の嫁になるなんていやだ!と思っていた主人公が、”手違い”でなんども召喚されるにつれて「男性の嫁にはなりたくないけど違う違うと言われ続けるとなんかむかつく」という心境になっていくのが面白いです。
異世界という最高の吊り橋効果
不安や恐怖を強く感じている時に出会った人に対し、恋愛感情を持ちやすくなる「吊り橋効果」という言葉があります。その点において、異世界というのは普段の状態だったら受け入れられないことも受け入れやすくなる、最高の舞台装置と言えます。
「こっこんなことするなんて現代日本ではありえないぞ!(でもここは異世界……)」と、風習の違いを受け入れるのと一緒に、なんとなく同性との恋愛関係もなしくずしに受け入れてしまう……そんな異世界BLはいかがでしょうか?
*本記事は、2018年07月03日に「monokaki」に掲載された記事の再録です。