ハゲvsブラ!激論・氷室冴子青春文学賞最終選考レポ|monokaki編集部
先週、第二回氷室冴子青春文学賞の結果が発表された。
「コンテストの大賞ってどうやって選ばれてるの?」そう疑問に思ったことのある作家志望者は少なくないはずだ。
コバルト文庫を代表する大作家の名を冠した同賞は、朝倉かすみ・久美沙織・柚木麻子というプロ作家3人が最終審査員をつとめ、前回受賞作は河出書房新社からの書籍化が決定している。
各審査員からの選評はエブリスタ内の発表ページをご覧いただくとして……monokaki編集部は、特別にその最終審査の場に潜入!
白熱した選考の様子を、現場のテンションそのままにお届けします。
●年後……のエピローグをつけるか、つけないか
柚木:私はこれが一番好きです。主人公以外の登場人物全員にちゃんと表と裏があって、皆キヨミが思ってる人と実はちょっとずつ違うんですよ。それが後半明かされていくのがよかった。この子はホームランが打てないタイプの人間なんだけど、ラストでやむにやまれず、ホームランを打つしかなくなる状況に追い込まれる。全作品中、一番追い込まれたのはキヨミだと思います。
久美:最後に大人になって、14年経ったことを振り返って終わるのはどうなのかな? 読みながらそこはもう一工夫できたのかなと思った。
柚木:最後の最後でハゲがバレてからかわれて、そのせいで大人になってからの同窓会にも行けなくなるんですよね。花丸をつけられない理由がハゲの扱いで。自分の努力ではどうしようもない身体のことを彼女はすごく気にしていて、周りの皆は笑っている。その状況を変えられないまま終わっちゃった。
久美:気にしないとか、隠し通すとか、方法も色々ありますよね。大人目線になってからが弱いのかな。14歳なら思いっきり悩んじゃうのもしょうがないしわかるけど、28歳になっても変わらない。
朝倉:この主人公は何で同窓会に行かないの? そこがよくわからなかった。
久美:トラウマなんじゃないですか? べつに皆に愛されてる人だと思うんですけどね。
柚木:彼女もまだ28歳で、あの頃から成長しきってない。28だったらしょうがないのかな、という気もしなくはないけど……何か惜しいんですよね。この中では一番おもしろかったし、推したい気持ちもあるんですけど。
久美:一回ほかの作品についても話して、また戻ってきましょうか。
大激論!問題作「これカノン」
久美:好きな人は好きな作品だと思います。若い子には響くかもしれないけど、あまりにも上から目線すぎて、ちょっと私はそこが嫌だなと思いました。
柚木:彼女の年齢を明かしてないところはいいと思います。ただ、ここまで先回りされてしまうと、こっちの感情が入る余地がない。すごく抜けのない思想なんですよね。自分はブルジョワにいる、そのことに対する批判精神もある、日本を変えなきゃと思ってる……全方位の客観性があるので、もう何も言うことはない。最後に真壁くんにちょっと優しくしてもらうじゃないですか? その嬉しさと気持ち悪さも客観視できていて、もう何も入る余地がない。でもうまいと思います。
久美:そうなんですよね、作家っぽいんです。
朝倉:一人称の私視点の語りなので、好きに書いてもいいと思うんだけど、あまりに読みづらい。何をどうやって書いてもいいけど、読み手は他者です。他者に読ませるように書くことの折り合いがついてない感じがしました。技術的な問題なのかな。でもすごいやる気はあるんですよね。攻めてる。
柚木:この中で一番本気なのは、『カノン』ですよ! この人の気迫はすごい。ほかの作品も読んでみたら、ジェンダーもちゃんと勉強してるし、内容も詰め込まれてる。一人称も三人称も全部この文章で、すごい気迫で臨んでる。好きではあるんですよ、でも感想が出てこない。
朝倉:「変わってるんだけど、変わってると言われると不安」。こういう感じのものって、総合的にみて一番青春ぽいよね。登場人物もすごく力強く立ち上がってくる。でもどう思っていいのかわからない。「いいよね」と言われたらいいとも思うし、「全然だめだよね」と言われたら「そうね」と同意もできる。
久美:庄司薫さんの三部作みたいな雰囲気もしたんですよ。あれは本当に超上流の話だけど、これ全然超上流じゃないよね。単なる金持ち。本当のセレブってこういうのじゃない。上手いんだけど、嫌らしさを感じてしまって。
朝倉:タイトルを先につける人か後につける人かわからないけど、『これカノン』って言っちゃったからこういうものになったのかもしれない。たとえばこれが『真壁くんは老衰で死んでほしい』ってタイトルだったとしたら、急によくなるでしょ?
一同:いい、いい!すごくいい!!
朝倉:そうしたらもう少しまとまったかもしれない。良い表現はいっぱいあるから、惜しいんですよね。
久美:皆真壁くんは好きなんだよ(笑)。ちょっと視線を変えるだけでも面白くなりそうなんだけど、ちょっと変えてくれるかな? というと、わからない。あんまり動いてくれそうにない感じもする。
柚木:光るものはあるんです。本当は編集者がついた方がいいのかもしれない。
朝倉:でもこの人、編集者のアドバイスを受け入れるかな?
柚木:うーん、どうだろうか……。
朝倉:できれば自分で気づいて少しずつでも変えてければいいんだけど。
でもキャラクターはすごく強烈なんですよ。これを読んだ後にほかの作品を読むと、もし『あるはげた日に』の主人公がカノンだったら……とか、『おやじドロップキック』の家族の中にカノンがいたら……とか考えてしまう。カノンの回しがすごい。
久美:でも話が断片的すぎて、どこにもいかないじゃないですか? もうちょっと筋らしい筋があるといいんだけど。
朝倉:短いからハッキリとした筋でなくてもいいんだけど、一本通ってた方がありがたいですよね。でも断章ぽいのがやりたかったんじゃない? 皆それはやりたいじゃない? 私もやりたいもん(笑)。
久美:カート・ヴォネガットみたいなやつね(笑)。
柚木:そうなんですよ、やりたいことはすごくはっきり分かる! だから応援したいんですよね。
登場人物の死の扱い方
柚木:プロレスの見せ方はうまいと思うんですけど、お母さんが何で死ぬのかが最後まで納得いかなくて。お母さんが死ななくてもこの話は成立するんですよ。親子がプロレスを通して仲良くなって、息子はいろんな人に出会って、全力で馬鹿をやることのプロ意識を学んでいく。「リングに上がると全然違う人になれる」というのがおもしろいところだと思うので、柔道部の先生が実はすごいレスラーだった……とか、そこに特化しても良かったんじゃないかな。
久美:実際に死んでいく人がこんなにじたばたしないっていうのはね。お母さんが苦しんだり、病気が悪くなっていく感じもないじゃないですか? プロレスをやっている父と息子の対極に悲惨な闘病生活があって、それでも作品を成立させることができるならいいんですけど、病気というものがただのガジェットになってしまってる。それは私は好きじゃない。
柚木:だったら殺さない方がいいですよね。お母さんが死んでどうなるっていうのもあんまりなくて、ご飯作ってくれる人がいなくなって父と子が残された……というだけなので。
朝倉:すごく読みやすい。流れるように読めて、どんどん流れていっちゃう。お母さんがいう「強さ」とか「男らしさ」、「親父超え」が何だったのかはよくわからないままでした。
久美:テレビドラマのようで。役者さんがそれなりで、プロレスが本気で、いいBGMがついたら、それだけでOKになっちゃう。読みやすいけど、深いところには何も到達しないまま終わっちゃった感じもします。
朝倉:個人的には、お母さんが「姫」だなって。女が少ない、男の集団にいた人なのかな。そういう部分が「ここにカノンがいたらちくりと言ってただろうな」と思わなくもないんですけど……
一同:(笑)
久美:あと、本当にプロレス好きの人は「こんなもんじゃない」って怒るかもしれない。格闘技って危険となり合わせで、ちょっとしたタイミングの狂いで何が起こるかわからない、そういう怖さがまったくない。特訓をしてくれる人たちもちょっといい人すぎちゃって、もうちょっとトラウマ的な何かがあってもいいかも。カンフー映画でも特訓してくれる師匠って鬼じゃないですか?
柚木:でもこの方は『カノン』と違って、「殺さない方がいいですよ! プロレスの描写もっと増やしてください!」と編集者が赤字をいれたら、ちゃんと直してくれそうですよね。伸びしろがある方だと思います。
複数視点の難しさ
朝倉:最初読んだときに、シリーズの一つかと思ったんですよ。「みらい堂シリーズ」の番外編で、私はよくわからないけど、皆はみらい堂とか千尋のことをよく知ってるのかなって。夢中で書いてるんですが、夢中になりすぎて、人称も「千尋」なのか「私」なのかがブレている。
柚木:始発点として、この時代が何年で、どんな服を着ていて、どんな家に住んでいて、ドアの形はどんなで……というのが全然わからないんですよね。大正なのか昭和なのか。「母は幕末から明治の激動の時代を生き抜き……」というんですけど、親子三世代いて、全員めちゃめちゃ高齢かもしれない。いろいろ昔話を行ったり来たりする前に、今が何年なのかが知りたい。
久美:ちゃんと時代設定すれば良かったですね。嘉納治五郎は「葛西治五郎」くらいにして。実在の人物が出てきちゃうとやっぱり歴史ものになるので、いろんな節目を飛ばしてはまずい。その頃の沖縄の人は琉球語をしゃべってるでしょうし。
柚木:母がスーパーヒーローってすごくいい。しかも歴史上の人物が「あの人はすごかった!」って言ってくる。「お母さんがキャプテン・マーベルだった」みたいな話ですよね!? その割にヒーローものとしてのカタルシスがない。『おやじドロップキック』と同じで、「良いお母さん」で終っちゃってる。「そういえばお母さんめっちゃ握力強かった……」とか「普通のようで普通じゃなかった……」みたいな、娘の中でスーパーヒーローとしてのお母さんに対する印象があったと思うんですよ。
タイトルも、母がスーパーヒーローだったってわかるタイトルにしてほしいですよね。文明開化の忘れ物と言ったら、ほとんどのものは文明開化の忘れ物じゃないですか?
朝倉:この人は時代もののスケールやドラマ性が好きなんじゃないかな。だからおっきめのタイトルをつけちゃう。子どもを抱いたままやる柔術はおもしろかったのにね。この時代ならではのドラマを作ってて、柔術もオリジナルで作ってるのはすごいので、もったいない。でも、ずっと書いていく人なんだろうなって思います。
久美:文章そのものは上手い人だと思うんですが、「いま誰の視点に立ってこの場面を書いているのか」がたまにとっちらかっちゃう。ネタは悪くないので、落語とか勉強していただいて。誰は何を知っていて、誰はこの時点ではこれを知らなくて……というのをちゃんと整理して、誰視点で語ると読者にわかりやすいかを考えてもらえると。
朝倉:最初からそういう書き方ができるものですかね? まずは1人の視点から小さくしっかり書くことをしてみてもいいかもしれない。この構成はこの人には難しいんじゃないかな。清一郎からまず一本書いちゃえばいいじゃないですか。清一郎がわりとすぐ挫ける、このダメな感じはもっと読みたい。オール讀物とかに出せるかもしれない(笑)。
マーベルみたいにするならどう書くんだろう? リアルタイムで書いた方がいいのかな。
柚木:おばあちゃんに孫が似るってあるので、千尋の娘のキャラを強くできそう。鰻屋のおじさんが来た時に「おじちゃん、これ持ってあげる♡」ってすっごい力で重いものをひょいって持つとか。で、嘉納治五郎が「おばあちゃんに似てるね……!?」って(笑)。治五郎ももっと使ってもいいですよね。すごいエンタメになりそうな素材が山のようにあるから、もったいない。
無理にわかりやすいオチをつけなくてもいい
久美:大好きです! 晴彦がLGBTなのか、女装趣味の人なのか、ただのさまよえる思春期なのか、何なのか分からないところも含めて、私はこの作品が好き。
柚木:晴彦はピュアな男の子で、彼自身自分のことがわかってない。ちぐさは「LGBTだからダイバーシティに対応するわたしが守るよ」って思っちゃうんだけど、そういうんでもない。どんどんすり抜けていく。でも、人生ってそうじゃないですか? 途中まですごくいいなと思ったんですが、最後に「弟」って言っちゃうんですよ!
その前の試着室のくだりで、私はとてつもない広がりを、宇宙を感じたんですよ! 彼女が大人っぽいブラジャーを買おうとしたら「君に似合うのはこれじゃない、男が好きなのじゃなくて自分が好きなものを選べ」って言われるところとか、もう「フゥーーーーッ!!!」ってなった。真の多様性みたいなものにちょっと触れた。それが最後「仲の良い弟」としてかわいがって、「優しい」という個性に彼女の勇気が収斂しちゃって。『はげ』と悩んだんですけど、『はげ』は宙ぶらりんのまま放り出した。成長しない28歳にキヨミはなった。こっちはまとまっちゃったなって。でもすごく好きであります。
朝倉:晴彦を肯定する理由が「弟だから」なのは、話を小さくしてしまってるよね。
でも私も圧倒的にこれでした。言葉の使い方や選び方が一番。洗った言葉を使おうとしていて、すごく選んでる。書こうとしていることに正対している感じがする。中の人物がちゃんと揉めてるのってこれだけなんじゃないかな。きちんとぶつかりあって解決しようとしてる。それは普通なことなんだけど、今の若い人には勇気が要ることなんだろうなと。不満は出だしがわかりにくかったのと、説明が多い。
柚木:最終的にはそこに集約するんだとしても、もう少し手前で切ってもいいのかなと思いました。
朝倉:この子の持っている、根からの人の良いところみたいなのが氷室さんに通じる。清潔なんですよ。女の子を書くときに、どんなに汚れたことを書いても、女の子って清潔さがないとやっぱりおかしいから。その部分が抜群で、ほかの作品とは(手を肩より広く開いて)このくらい差があるぞって感じ。
久美:繊細でデリケートで丁寧。わたしも最初ハゲ推しだったんですけど、途中でブラ推しに……。擁護すると、「弟」の部分はその前に友達に「妹」って言っちゃったからこその「弟」だと思うんですよ。「家族だ」っていうのを出さずに、この変なお母さんと変なお父さんと自分たちを包むための「弟」なのかなって。それでよし、となっちゃいました。
朝倉:よくこのお母さんからこの息子になったなって(笑)。私は「弟とも言い切れない」というところで終わってほしかった。
久美:でも「家族」って言っちゃうのも嫌でしょ!?
柚木:家父長制から自由なのって氷室さんの特徴じゃないですか。雑居というか、共存。彼は性欲でもない、何でもない、ただの彼なんですよ。そこがすごくいいなと思った。
朝倉:でもマナーとかルールはすごく守る。どうなんだろう、家族とか、そういうのが書きたいことだったのかな? 最後、お話をオトすために急にそうなったのかなって。こんなのなくてもいいのに。
久美:何かわかんないけどとにかく味方してる、でいいですよね。「身内」だとまた狭くなっちゃうし。
柚木:ちょっとだけ気になったのが、全体的に女の人に対してちょっと冷たいかなって。義理の母親への無理解や友達との独特の距離感が、『カノン』のあの上から目線ともまた違う、ガチの意地悪さを感じないでもない。
久美:父の娘的な子なんですよね。「父子家庭をハンデだと思ったことは一度もない」と言い切っていて、この子にとっては父子家庭が一番居心地のいい場所として描かれてる。
柚木:『はげ』にはそんなところが全然ないんですよ。クラスのマドンナ的な宗谷にもイタい部分がちゃんとあって、うざいクラスメイトにも純な部分がある。お母さんともいろいろあるけど最後はぎゅっと抱きしめてあげたり、女の人に対する情愛みたいなものがじんわりある。同性を悪者視しないところが氷室さんぽいとも思ったんですよね。
氷室冴子のA面とB面とC面
久美:……というわけで、結局ハゲvsブラになってるじゃないですか! あと、カノンはちょっとここに呼びつけて話を聞きたい(笑)。
柚木:世に出せるのはブラですよ。ハゲは読んだら物語と関係ないところで傷つく人がいる可能性がある。同性との連帯を書けてるのにわたしが推せないのは、身体的特徴が笑われる、そしてそれは変えられない、人の価値観は変えられないところが、世の中に出してはいけないのかなとも思う。宗谷もモブの子もすごく好きなんですけど。こういう子いるじゃないですか?
久美:皆でつま先立ちになって歩くのとかね、最高だよね(笑)。良い作品なんですよ。転ぶときに本の方を守るタカシナ先輩とか、ディティールが素晴らしい。少女漫画っぽい。
柚木:イケてるつもりの星野が結婚したら案外皆「フーン」って感じで、さえない先生が美人の奥さんを連れてきたらショックを受けちゃうとか、すっごく高校生。嫌いになれない……
久美:W受賞よりは甲乙つけた方がいいと思うんですけど、これ両方とも本にする方向で考えていいですかね……?
柚木:ブラは途中で切れば……「晴彦にも、期待しすぎていたのだ。性別に振り回されないからといって、性がないわけではない。『ねえ、瞳子さんがおっかないのはわかるけどさ、やっぱりこういうときぐらい鍵かけときなよ。大人になれないよ』そう言うと、布団の中から思いきり頭を蹴られた。」ここで切ってたら完璧!
久美:ハゲは……皆が笑わないってするのは難しいのかなぁ? 実際悩んでいる人たちが引っ張られない方策はないだろうか。
柚木:ホームランを打って皆が抱き合ってるところでパーンって終われば、何の問題もないです。ハゲが笑われるってところを作らなければ。やぶれかぶれにホームランを打つって、すごく『クララ白書』っぽいなって。追い込まれたやつがすごい力を発揮してハッピーになる。
朝倉:「この子とすごく気が合いそうなんだけど、今はこっちと友達だから、あんまり仲良くなれない」みたいなのも、すごくわかりますよね。
柚木:でもどの子のことも贔屓してない。
朝倉:でも「青春」ってことでいうとやっぱりカノンですよ。私もこういうことやってたことあるもん(笑)。
柚木:不死鳥のように蘇ってくるカノン……! たしかに、もう通過してきた黒い部分だから見たくないのかも。
久美:ハゲが『クララ白書』でカノンは『白い少女たち』、ブラが雑居ものなんですよね。氷室A・B・C。
朝倉:そう考えると、氷室さんやっぱり最初から上手かったね(笑)。
久美:どうしましょう、単純な得票数で言うと、わたしと朝倉さんが◎つけてるのがブラの方なので、こっちが大賞なのですが。
柚木:私も、ちょっと手前で切ってもらえれば、大賞で大賛成です!
久美:ではハゲが準大賞で、カノンは……特別賞みたいな形で残しますかね。ここまでいっぱい語らせたのはすごい(笑)。
柚木:「審査員特別賞」ってやつですね。
朝倉:でもカノンがいて良かったね。最終選考に残る作品って、うまいんだけど手つきがもう決まってる感じがするんですよ。カノンは粗も目立つんだけど、破壊力はあった。
柚木:この人は、もっと変なパワーがあって呆気に取られるようなものを書いてもいいのかもしれない。批判されないように先回りして書くんじゃなくて、もっと愚かでもいいのかもしれないです。
久美:今回最終に残ったほかの方も、うまくなっていく方だと思うので、またリベンジしてほしいですね。
(取材・構成:monokaki編集部)
*本記事は、2019年10月17日に「monokaki」に掲載された記事の再録です。