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2019-2022年のウェブ小説書籍化② 日本のウェブ小説における有料販売の歴史、中国・韓国式有料課金モデル導入の夢|飯田一史

日本のウェブ小説サービスにおける有料販売の歴史

 2010年代後半に日本にやってきた「北米型チャット小説」は、書籍化も有料サービス(新しいビジネスモデル)も軌道に乗らなかった。
 では「中国・韓国型有料ウェブ小説」はどうだったか。その話に入る前に、ふたつの流れを確認しておく必要がある。
 ひとつは日本のウェブ小説サービスにおける有料販売の歴史と作家への利益還元の潮流。
 もうひとつは中国と韓国におけるウェブ小説市場の隆盛だ。このふたつの流れが合流したところで、日本における「中国・韓国型有料ウェブ小説」サービスは誕生した。

 まずは前者からだ。「日本のウェブ小説は無料」というイメージが強い人も多いだろうが、すべてが無料で提供されてきたわけではない
 1997年6月に村上龍が書き下ろし小説などを連載する有料会員サイト「TOKYO DECADENCE」をオープンし、書き下ろし連載小説『THE MASK CLUB』を発表した。ただし追随する動きは限定的であり、村上自身も継続したわけではない。
 2002年1月には新潮ケータイ文庫がサービスを開始し、フィーチャーフォン向けの月額課金モデルを導入している。一時期は約3万人まで会員を増やした。しかし、人々が用いる端末がスマホに移行すると、ウェブ小説の月額課金モデルはエブリスタを除くとほとんど廃れてしまう(yomyom pocketがウェブ上で2013年から1年試みたがサービス終了)。

 2013年8月、エブリスタが投稿作品の有料販売サービス開始(エブリスタはスマホに移行してもガラケー時代から引き継いだ月額課金モデルも現在に至るまで続いている)。2014年までのプレスリリースでは、もぁらすや梨里緒などの作品が好調な売上となっていると謳っていた。理由は不明ながら、それ以降はほとんど発信がなくなる。結果として多くのユーザーにとって、また、使っていない外部の人間から見るとエブリスタも「無料で読める小説投稿サイト」というイメージが強くなっている。
 2016年11月、ニンジャスレイヤー翻訳チームが多様なテキストコンテンツを集めた「ニンジャスレイヤープラス」をnote上で月額490円でスタートする。noteは文章に限らず写真、音楽、映像などが配信・販売できるプラットフォームとして2014年4月にサービスを開始したものだが、Twitter小説の第一人者である『ニンジャスレイヤー』が有料での利用を開始し、多数の登録者を集めたとされる。しかしnote上でウェブ小説を連載し、『ニンジャスレイヤー』のように作品に課金してもらうというスタイルは一般化には至らなかった。

 2017年3月、アルファポリスが有料の一話単位での小説レンタルサービスを開始。アルファポリスは投稿小説の書籍化該当部分については削除・非公開またはダイジェスト化していた。だが有料で購入する「アルファコイン」を使用することで、書籍化に伴い削除された部分も(改稿して刊行された書籍版と同じ内容のもので、だが)ウェブやアプリ上で読めるようになった。これは先行する各社のマンガアプリの課金モデルを参考にしたものだろう。
 ただ、書籍化されていない投稿小説をユーザーが有料販売する機能は実装されていない。結果として「ウェブ小説をオンライン上で販売している」というイメージは薄いままだ(利用者の多くにとっては「電子書籍を分割配信している」という認知になっている)。

 2018年11月にはカカオジャパン(当時。現カカオピッコマ)が運営するピッコマがノベルの本格配信を開始する。「待てば無料」モデルでマンガアプリ界の寵児となったピッコマが、出版社から提供を受けた小説(主にラノベやロマンス、ケータイ小説で一般文芸はきわめて少ない)を「待てば無料」の話売りモデルでの販売を始めた。主にはすでにマンガで提供していたなろう系作品などの原作が読みたいユーザーが、マンガから小説へ、あるいは、小説からマンガへアプリ上で回遊が可能になった。
 ただしピッコマは出版社から提供された作品を販売するのみで、投稿機能を持たない。したがって基本的には「マンガアプリが、商業出版された小説も話売りするようになった」と理解され、「ウェブ小説の有料販売」とはみなされなかった。

 このように、日本でもウェブやアプリ上での小説販売は行われてきた。
 しかし、小説家になろうやエブリスタ、アルファポリスは2010年代以降も、大々的にマンガアプリモデルにリニューアルしてチケット制や「待てば無料」モデルでの有料販売に踏み切ったわけではなく、そうした機能を投稿小説に積極的に解放したわけでもなかった

 有料販売ではなく投稿作品の無料閲覧を前提としながら書き手に収益を還元する手法としては、2018年に投稿サイト上の広告収入を分配する試みが日本の小説投稿サイトでも始まっている。
 先鞭を付けたのは新興サービスの「ノベルバ」だ。
 2015年8月に設立された株式会社ノベルバは、同年12月に完全無料で複数の小説投稿サイトに投稿された作品が読める小説閲覧アプリ――というか他の小説投稿サイトの小説リンクを紹介する「小説リンク紹介アプリ」なる体裁を取って「無断転載ではない」と称して独自のランキングなどを提供していた――「ノベルバ」をスタートさせていたが、これをリニューアルして2018年1月に小説投稿サイト/アプリとして正式オープンした。
 ウェブ小説の書き手からは「投稿した作品を勝手に他のサイトやアプリ上で作品を読めるようにするな」と不評だった「リンク紹介機能」は2018年4月に停止して投稿サイトに移行している。

 2018年7月にノベルバはアプリ内のPVに応じて報酬が支払われる「報酬プログラム」を開始した。投稿者が申請すると1PV=0.1円、3000円分から受け取れるというサービスだ。既存サイトのいくつかはこの施策によってユーザーを奪われるという危機感を抱いたのか、同様の広告収入を作家に還元するモデルを採用する
 たとえばアルファポリスが2019年1月から、カクヨムが同年10月から行っている。カクヨムの総PV数はこの「カクヨムロイヤルティプログラム」導入後、2019年4月から20年10月の間で約3倍も成長したという(「カクヨムからのお知らせ」2020年12月21日「「カクヨムロイヤルティプログラム」運用一周年突破! ユーザーの活用状況を大公開します!」)。

 その後ノベルバは、2018年11月にビーグリーが株式会社ノベルバの全株式を取得し、以降はビーグリー運営となる。また、ノベルバは2019年6月に「待てば無料」モデル(正確に言えば、カカオピッコマが「待てば無料」の商標登録をしているため、ビーグリーはサービス名として「待つと無料」と謳っている)を採用して商業ラノベの配信・販売を開始した。ただし引き続き投稿小説には販売機能はない。
 2020年11月にはノベルバノベルズという書籍レーベルも立ち上げ、「公式作家」である杉井光や白沢戌亥らの作品や、2021年8月に行われた第1回「ノベルバノベルズ登竜門」コンテスト受賞作などが書籍化された。ただし、投稿機能提供開始時点において、「リンク紹介」と称してなろうやアルファポリス、カクヨムなどから無断転載したと受け取られかねない行為によってウェブ上の書き手に不信感を抱かれたために、ノベルバはその後も書き手獲得に苦戦していると見られる。

 こうして日本の投稿サイトも2018年以降、ウェブ上で執筆することで書き手が収益を得られる仕組みを採り入れた。ただPVに応じた還元では一部のトップ作家を除けば得られる報酬はたかが知れており、ウェブ小説業界の勢力図を大きく塗り替える出来事にはならなかった。
 やはり本命は、有料販売機能を備えたウェブ小説投稿サービスだと界隈では目されていた。日本のマンガアプリ界にLINEマンガやピッコマ、comico、レジンコミックスといった韓国勢が新たなビジネスモデルや表現形態(ウェブトゥーン)をもたらしたように、ウェブ小説でも隣国から新規参入者がやってきた。


中国・韓国式有料課金モデル導入の夢

 韓国や中国では、2010年代中盤以降、ウェブ小説産業はどんな状態にあったのか?
 筆者が日本のウェブ小説について中国や韓国のウェブ小説事業者やその動向を知る人たちと話すと、日本の「書籍化」を前提とするウェブ小説事業のスタイルや商慣習に対して疑問をぶつけられることが多かった。「なぜウェブやアプリ上で小説を有料販売せずに、ウェブでは無料で読ませて紙の本や電子書籍を有料で売っているのか」と。

 中国や韓国では、チャット小説に限らずウェブ小説一般において、ユーザーがデジタルコンテンツに対して課金して読むこと、作家がウェブ小説で「稼ぐ」ことは、当たり前の風景になっていた(中国の「起点中文網」でウェブ小説の有料販売が始まったのは2003年に遡る)。
 2010年代末から2020年初頭の韓国のウェブ小説事情についての新聞記事を引こう。

 1月31日、ソウル市瑞草区瑞草洞にあるウェブ小説学院「ストーリー院」を訪れた。スーツ姿の受講生のイさん(36)が書いた文章を、講師が添削していた。イさんは、昼間は物流会社で企画業務に携わり、夜はロマンス小説を書く「ウェブ小説家」だ。昨年11月から書き始め、今年初めにあるサイトと小説の連載契約を結んだことで、毎月原稿料として100万ウォン(約9万7000円)を受け取ることになった。(中略)韓国創作ストーリー作家協会が推算するウェブ小説家志望生はざっと20万人に上る。(中略)ネイバーの「挑戦ウェブ小説」には、志望生が手掛けた実に17万編にも上る小説が登録されている。「文ピア」など専門サイトにも3万編以上の小説が掲載されている。コミュニケーションアプリのカカオトークによると、「カカオページ」を通じたウェブ小説の取引額は、サービスを開始した2013年の17億ウォン(約1億6600万円)から昨年には2200億ウォン(約215億円)と実に130倍近くにまで膨らんだ。現在カカオページに登録されている作品は2万3000編だ。このうち625作品が1億ウォン(約970万円)、89作品が5億ウォン(約4800万円)、34作品が10億ウォン(約9700万円)以上の累積売り上げを計上している。(「朝鮮日報」2019年2月17日「韓国でウェブ小説が人気、作家志望生は20万人」)
 ウェブ漫画やウェブ小説など韓国のデジタルコンテンツ流通会社が、有望コンテンツの確保に力を入れている。中には高額賞金の公募を行う企業もあり、IT大手ネイバーの子会社は賞金総額15億ウォン(約1億4364万円)の公募を実施している。(中略)ネイバー子会社のネイバーウェブトゥーンは5月から9月まで、ウェブ漫画とウェブ小説の公募を実施。漫画、小説それぞれの分野で大賞作品には賞金1億ウォンが送られる。賞金額は漫画部門が計6億6000万ウォン、小説部門が8億4000万ウォンと過去最高水準だ。(中略)各社は公募により人気コンテンツを確保し、映画化、ドラマ化、海外市場攻略につなげたい狙いがある。ネイバーやカカオは関連事業では赤字を計上しているが、市場のリードに向けて両社ともに今年、約800億ウォンの投資を断行した。(「NNA」2019年5月2日「ウェブ漫画・小説、高額賞金の公募開催」)
「大賞賞金1億2000万ウォン(現在のレートで約1170万円。以下同じ)、賞金総額3億6000万ウォン(約3500万円)」
 これは韓国のオンラインウェブ小説サービス「MUNPIA」が今月12日に開催する「大韓民国ウェブ小説公募大展」に掲げられた賞金額だ。MUNPIAは会員100万人、作家5万人を抱える韓国最大手のウェブ小説プラットフォーム。同社は2015年に韓国国内初のウェブ小説公募展を開き、当時の応募作品数は1363編だった。投稿数は年々増え、昨年はおよそ5000編の作品を受理して史上最高を記録した。昨年の時点で1億ウォン(約970万円)だった大賞の賞金が、今年はさらに高くなった。またネイバーは、昨年の時点で賞金総額15億ウォン(約1億4600万円)に上っていたウェブ漫画・ウェブ小説「地上最大の公募展」を、今年はさらに規模拡大して来月開催する予定だ。
 昨年MUNPIAの公募で大賞を取った受賞作『新入社員キム・チョルス』は、昇進に失敗した中年会社員が過去の初出勤の日に戻ることで起きる事件を描いたファンタジー小説で、1カ月の販売額だけでも1億ウォンを超えた。さらに、ウェブ小説の知的財産権はウェブ漫画・ドラマなどに拡張されて追加収益を上げることもできる。2017年に大賞を取った武侠(ぶきょう)ウェブ小説『ナノマシン』は、昨年6月にウェブ漫画として発売されると原作に対する読者の関心も同時に上昇し、ウェブ小説・電子書籍の月間売り上げは5億ウォン(約4900万円)近くに跳ね上がった。(「朝鮮日報」2021年5月9日「賞金1億→3億→15億ウォン…思わず声が漏れる韓国ウェブ小説公募」)

 NAVERは2021年1月には投稿作品10億以上にのぼるカナダのウェブ小説サイトWattpadの買収を発表した。同年5月に同社はCJと共同で韓国ウェブ小説プラットフォーム最大手のムンピアの買収も発表している。
 買収時点でムンピアは4万7000人の作家を抱え、月間の平均ページビューは1億、月間アクティブユーザー(MAU)は40万人。2020年の連結売上高417億ウォン(40億5100万円)、最終利益は63億ウォン。企業価値は3000億ウォン以上とみられる(「NNA」2021年5月13日「ネイバー、韓国ウェブ小説1位を買収へ」)。
 韓国同様に中国でもウェブ小説は、マンガやアニメ、ドラマ、映画、ゲームなどへ展開するためのIPの大元、投資対象として大きく注目されていた。

 中国の政府系シンクタンクの調査によれば中国でインターネット小説の読者は2017年に4億人を超えた。すでに一大産業となっている。人気作家、唐家三少氏などの年収は、10億円を超えたと報じられている。(「産経新聞」2019年4月3日「【矢板明夫の中国点描】恐ろしい若者ネット小説」)
 中国天津市は、同市静海区団泊湖地区にインターネット小説家やネット小説サイト、映像、ゲーム、音楽の各制作会社などの拠点となる「ネット小説家村」を開設した。入居するネット小説家らは、税制面や法務上の優遇措置を受けられ、サイトや制作会社関係者とのつながりを持ちやすくなる。(中略)中国国内でネット小説を執筆する人は500万人以上存在するとみられ、2016年のネット小説関連の生産額は5000億元(約8兆2000億円 ※飯田註、これはさすがにウェブ小説のみの売上ではなく、メディア展開された映画やドラマ、ゲームなどすべての売上を合算したものと思われる)を超えたとされる。(中略)天津市作家協会と近い関係にある100人だけで年間の原稿料報酬が1億元を超えるという。(「時事通信アジアビジネス」2018年12月7日「天津市海静区に「ネット小説家村」、サイトや映像制作会社も拠点=中国」)
 ここ数年で急成長した中国のゲーム産業は、海賊版や盗作、類似品が氾濫する無秩序な成長を終え、著作権を重視し、大金を投じて文学作品のゲーム化権を獲得する時代に入っている。中国国営新華社通信が伝えた。
 ネット小説サイトなどを運営する盛大文学が先ごろ開催した中国初の「ネット文学作品ゲーム化権オークション」には、国内のゲーム会社や投資会社など20社近くが参加。「唐家三少」氏をはじめとする著名ネット作家6人の6作品が競売にかけられ、計2800万元(約4億6500万円)で落札された。(中略)一方で、オンラインゲームの開発・運営を手掛ける上海巨人網絡科技は先ごろ、騰訊(テンセント・ホールディングス)傘下の騰訊文学と提携することを発表。騰訊文学が運営するプラットホームで発表された人気ネット小説「択天記」のゲーム化権を高額で取得、提携第1号のオンラインゲームとして今年後半にはリリースする計画だ。(中略)中でも爆発的な成長を続けるモバイルゲームは、ゲーム化権の獲得競争が激化。業界関係者によると、人気のネット小説を原作としてゲームアプリを開発する権利は、100万元余りだった2013年から急上昇し、今では200万~500万元になっているという。(日本工業新聞社「FujiSankei Business i.」2014年8月8日「文学作品ゲーム化権獲得へ オンライン系、競争激化」)
 20年に出版契約が結ばれた中国のネット文学作品は約200万点で、うち実話を題材とする作品が60%を超えた。(中略)中国のネット文学のユーザー数は20年に4億6700万人、ネット文学サイトに掲載される作品数は約2800万点に上った。(中略)ネット文学業界は(中略)、川下の文化産業の生産高を1兆元(1元=約17円)以上けん引した。(中略)ネット小説をドラマ化、映画化した作品は約140点を数えた。最もブームに乗っているネットドラマの場合、ネット文学をドラマ化した作品の割合は60%の高水準に上る。ネット文学の国際化も新たな成長分野になっており、海外に輸出された作品は1万点余り、サイトでの購読サービスと閲覧サービスアプリのユーザー数は1億人を超え、世界の大多数の国・地域に広がっている。(「エマージングマーケットニュース」2021年5月28日「中国のネット文学、実話に基づく作品が大半」)

 シンガポールの新聞「TheStraitsTimes」2021年11月28日「Growing number of Web novelists fuelling e-book boom in China」は、市場調査会社Statistaが同年10月に発表したレポートを引き、2020年の中国のオンライン文学市場の売上高は250億元 、4億6000万人 (中国人の3人に1人) が読者だとしている。
 2017年にはウェブ小説業界の最大手、China Literature(閲文集団)が新規株式公開 (IPO) によって83億香港ドルを調達、同社傘下のサービスの月間アクティブ読者は21年8月には2億3270万人、執筆者は940万人にのぼるという。
 こういう文脈を見ないと、なぜ2010年代後半に中国や韓国資本系のウェブ小説サービスが日本でいくつも参入したのか、何を狙いにした事業だったのかが理解できない。

 投資家/事業者は、ウェブ小説発のIPは効率よく、手堅く二次展開までヒットさせられること、大きな制作予算が必要な映像化のリスクを下げられる点に注目した。どういうことか。無料の小説投稿サイトは軌道に乗りさえすれば、二次展開できる原作となる小説の企画・開発(ディベロップメント)コストがもっとも安く、もっとも大量の作品をテストできる場になる。
 無数の一般ユーザーが(少なくとも当初は)無料で投稿するウェブ小説プラットフォーム内で人気になった作品だけを、次に制作コストがかかる書籍/電子書籍にしたりサービス上での有料販売を可能にする。その中でも特に売れた本/タイトルだけさらに制作コストがかかるマンガにする。マンガでも特に売れた企画だけを、マンガよりはるかに制作コストがかかる映像化やゲーム化まで進める。きわめて経済合理的な手法である。現にこのモデルは日中韓いずれでも成功を収めていた。
 言うまでもなく、ドラマや映画、アニメがヒットすればマンガ、本、ウェブすべてに跳ね返ってそれぞれがさらに人気が伸びるという波及効果もあった。

 ウェブ小説を原作としたマンガが顕著に好調であると確認されていたのは韓国や中国だけでなく、この時期の日本でも同様だった。
 アルファポリスは2019年5月期決算にて漫画事業がライトノベル事業を初めて上回る売上となり、以降はコミックがもっとも稼ぎ頭となる。「創」2019年5・6月号掲載の道田陽一「コミカライズとKADOKAWAの戦略」では、KADOKAWAの常務執行役員コミック&キャラクター局の青柳昌行局長がなろう系のコミカライズについて「原作小説の、2.5~3倍は売れる」と書いている。つまり日本では同時期に「ウェブ小説の書籍化」は頭打ちになっていたが、「ウェブ小説のコミカライズ」市場はマンガアプリの伸長とあいまって、まだまだ伸びていた。

 二次展開できるIPの「原資」たるウェブ小説投稿プラットフォームに継続的に人を呼び込み、作家に有力な原作を書いてもらうためには、そこが「読まれる場」であるだけでなく「儲かる場」だと書き手に知らしめたほうがいい
 韓国では(電子書籍市場は以前からまた別にあったものの)日本のようにもともとは無料中心だったウェブ小説プラットフォーム上でも有料販売がされるようになったことで、無料時代よりも書き手がより集まるようになった。ウェブ小説がウェブトゥーンになり、ドラマ化されて全世界に配信されるというサイクルが、従来よりも巨大なものに成長した

 隣国・日本に目を向けると、有料ウェブ小説サービスは普及していないが、マンガではアプリで読む作品に対する課金は根付いた。
 2013年にマンガアプリが生まれて以降、小学館マンガワンが始めた「1日2回無料ライフ(チケット)配付」モデル、ピッコマが始めた「24時間待てば1話無料」(のちに23時間に短縮)モデルなど、無料で一部読めることを入り口に課金へ誘導する手法が確立され、デジタルコミックを話単位で課金して読むことは当たり前になっていた。
 したがって、中国や韓国では当然のものとして存在し、日本でもマンガではうまくいっているのにウェブ小説で有料課金モデルが成功しない理由はないだろう――と。こうした流れから、日本でも2019年以降、中国系や韓国系資本の企業から一部有料のウェブ小説サービスが登場する


外資が参入して立ち上げたMAGNET MACROLINK、三度目の小説事業へのチャレンジとなったLINEノベル

 先陣を切ったのは、2016年創業の中国系資本の企業・UDリバース株式会社が2018年5月に立ち上げた「マグネット!」だ(のちに「MAGNET MACROLINK」に改名)。
 MAGNET MACROLINKは当初から読み手がMPと呼ばれるポイントを購入して書き手に対して投げ銭できる機能を用意していたが、それに加えて2019年4月に書籍化事業を自社で開始し、さらに同年7月にはサイト/アプリ上での「公式連載」を開始した。公式連載は、同社が契約した作家による連載であり、ここで書かれた作品は、序盤は無料で読めるが途中からは課金しないと読めない仕様になっていた(TELLERが有料化したのも同じ2019年7月)。

 MAGNET MACROLINKのモデルは、先行して中国のウェブ小説サービス「起点中文網」などが採用していたものだ。小説の投稿者ははじめ、投稿した作品を販売することはできないが、一定の文字数と読者からの支持が確認されると運営から声がかかって契約できる契約完了以降は読者に対して作品を一話単位で有料販売できるようになり、売上は作家と運営で按分する。MAGNET MACROLINKでは読み手が連載を読むため以外に、書き手や作品を応援するために投げ銭ができるが、これも中国ウェブ小説と同様だ。
 中国ウェブ小説と異なる点は、書籍化事業を所与のものとして組み込んでいた点である。中国でも人気のウェブ小説が書籍化されることは珍しくないが、ウェブ小説事業者が主たる収益源とみなして取り組むものとは言えない。

 なぜMAGNET MACROLINKはウェブでの有料販売に加えて書籍化を手がけたのか。事業者からの弁がないため推測になるが、まず、日本では「本になる」ことをステイタスと考える作家が多いからだろう。また、サービスが始まったばかりでは有料販売といっても売上はたかが知れている。
 本にして発行印税を作家に還元しなければ、金額的に乗ってくる作家が少なかったのかもしれない。もちろん、事業者側としても書籍事業は当たれば大きい。本を刊行すれば、書店店頭からMAGNET MACROLINKを知る人が増えるというサイクルが回ることを狙ったこともあるだろう。MAGNET MACROLINKが手がけたジャンルは異世界ファンタジーの単行本であり、なろう系と同じ棚に並ぶことを意図したものだったことは明白だ。

 しかし、2019年4月に開始した出版事業は9月刊をもって早くも停止。11月には「公式連載」に関しても方針変更が発表されて「自由更新」となる。つまりそれまでは一定のスパンで一定以上の文字数で更新する(おそらくその代わりに、作家に対してユーザーからの売上とは別に、運営から原稿料を支払っていたと思われる)ことを条件に契約していたが、それを取りやめたことになる。
 同時に開催していたコンテストも継続しなくなり、2020年3月以降は公式から一切の「お知らせ」もなくなった。一部の「公式連載」作品は継続更新されているが、実質的にMAGNET MACROLINKの目論見は失敗に終わった。
 MAGNET MACROLINKはサイト独自の「特定ジャンル、特定タグの愛好家」を育てようとはしていた。しかし著名作品・作家を連れてこられたわけではなく、また、映像化がコンスタントにされる状態に持っていく前にサービスを閉じてしまったために、話題性があるタイトルに寄ってくる「ミーハー/ネット民」層を捉え、書き手と読み手がともに増えていくというグッドサイクルを回すことができなかった

 LINEが三度目の小説事業へのチャレンジとなるLINEノベル(第3期)を始めたのはMAGNET MACROLINKが有料化した1ヶ月後の2019年8月のことである。
 電撃文庫の元・編集長であり『ソードアート・オンライン』や『魔法科高校の劣等生』などのウェブ発作品も手がけてきた三木一馬が統括編集長となり、ほかにもスターツ出版文庫などを成功させてきた篠原康子などの編集者を引き抜き、LINEノベルではプロ作家の新作オリジナル作品を配信。さらには同年同月に新創刊したラノベレーベルLINE文庫、ライト文芸レーベルLINE文庫エッジから刊行した。

 LINEノベルが書籍からの売上とアプリ内課金のどちらを多く見込んでいたのかは定かではないが、いずれにしても「ウェブ小説をウェブ上で読むデジタルコンテンツとして販売する」ことを前提に執筆・配信したものではなく、「書籍用に書き下ろした小説をスマホアプリ上で分割配信した」ことになる。
 また、自社オリジナル作品以外にも、KADOKAWA・講談社・新潮社・集英社・実業之日本社・スターツ出版・宝島社・東京創元社・文藝春秋・河出書房新社・双葉社・ポプラ社から既刊の提供を受けて話売りモデルで配信した。
 投稿機能もあった。ただし小説の閲覧はスマホアプリ上でしかできないのに、書き手はPCからでないと投稿できないなど、投稿者からは「使いづらい」と不評だった。

 LINEノベルの機能は「チケット制マンガアプリの小説版」をベースに、投稿サービスを加えたものだと言える(ただし投稿作品は有料販売できず、すべて無料だった)
 2019年4月には新人賞である第1回令和小説大賞の募集を開始し、LINE、日本テレビ放送網、アニプレックスの共同事業として受賞作には書籍化・映像化が確約され、20年3月には受賞作を発表した。そしてわずか1年後の2020年8月末日にLINEノベルおよびLINE文庫、LINE文庫エッジをクローズする。
 LINEノベルは、カクヨムやMAGNET MACROLINKと比べてもサイト独自の「特定ジャンル、特定タグの愛好家」を育てる機能に乏しかった
 また、著名作品・作家を連れてきたものの提供作品はウェブやアプリでの閲覧に最適化された「連載」ではなく、紙の本を元に単に分割配信したものであったためにアプリで続きを読みたい気持ちを喚起するものにはなっておらず、読者が付かなかった。そしてやはりコンスタントに映像化される状態になる以前にサービスを閉じたために、サービス拡大に向けてのグッドサイクルが回らなかった。

 2016年に始まったカクヨムから最初の映像化作品が出たのが2019年、2017年スタートのmonogatary.comからYOASOBIが登場したのは2020年、三木一馬の出身である電撃文庫の創刊は1993年だがラノベ界のトレンドを塗り替えた上遠野浩平『ブギーポップは笑わない』が登場したのは1998年だった。試行錯誤の中からヒットが生まれ、育つまでには時間がかかる。こうしたセオリーを無視し、創刊から最低でも3年から5年は粘るという覚悟がないLINEでは勝負にならなかった。
 前述したとおり、2020年にLINEノベルが早期撤退した翌2021年、日本のLINEを傘下に収める韓国のNAVERはカナダのWattpadや韓国のムンピアには巨額を投じて買収している。つまり同グループは、北米や韓国の投稿サイトは世界で通用するウェブトゥーンやドラマの原作を生み出すものとして期待できるが、日本発ではそれは期待できないと判断したことになる

 もっとも、すでに十分に育っているWattpadやムンピアを買えば「時間を買う」ことができる(自前で始めるよりもはるかに早く顧客やコンテンツを手に入れられる)。
 一方でゼロから立ち上げなければならず、当たるかどうかもわからないLINEノベルでは、同じウェブ小説事業といっても、投資の際に見ている時間軸が違う――成果が出るまでの期間も、ボラティリティ/リスク(事業の収益のブレ幅)もまるで異なる――とは言える。
 しかし、たとえばウェブトゥーン事業では粘り強くアジア圏や北米で投資を続けているNAVERが、日本のウェブ小説事業では3度もあっさり撤退した事実からは、日本の小説市場/日本の小説発のIPへの期待値の低さ、扱いの雑さを感じてしまう
 なお、2022年2月からLINEマンガ上で韓国の芸能事務所HYBE所属のBTS、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPENのメンバーをモデルにしたウェブトゥーンとウェブ小説が配信されており、きわめて小規模ながらLINEは日本で4度目の小説参入を果たした(ただしこれらの作品は2022年3月現在、書籍化はされていない)。

 また、会社は違うが第3期LINEノベルの後継サービスと言えるようなUI/UXの――仕様、使い勝手が似ている――サービスとして、2021年3月にはKADOKAWAが電撃文庫と電撃の新文芸関連の小説およびそのコミカライズ作品を配信するスマホ向けアプリ「電撃ノベコミ」がスタートしている。
 ユーザー投稿の小説がない(ただ、電撃ノベコミ上でのオリジナル小説の連載は行われている)代わりにマンガが読めるLINEノベル、といった体裁だ。チケット制マンガアプリ同様のしくみを採用し、作品の販売機能を有する。この点で同じKADOKAWA発のカクヨム、魔法のiらんどとは異なっている。
 マンガアプリが続々台頭していた2013年~2015年に同じビジネスモデルで電撃ノベコミがローンチされていればユーザーの一挙獲得もできただろう。しかし文庫ラノベの売上は2012年からの10年間で半減しており、ジャンルとしてのプレゼンス低下が著しい。また、ノベコミでは電撃の作品しか読めないが、各レーベルのラノベが読めるアプリとしてはピッコマがあり、さらになろうやアルファポリスのようなウェブ小説サイトもある。サービス開始が遅きに失した感は否めない。
 もちろん、ほかのラノベレーベルが自社アプリ開発に乗り出していないなか、中長期的な成否が注目されるところではある(「ノベルアップ+」はブラウザでアクセスできるウェブサイトのみで、アプリはリリースしていない。また、小学館マンガワンでガガガ文庫のラノベが配信される、スクウェア・エニックスのマンガUP!上でSBクリエイティブGA文庫のラノベが配信されるなど、マンガアプリ上で小説が多少提供されることはある)。


「ウェブ小説は書籍化されないとマネタイズできない」という奇妙に思えるモデルが日本では未だに主流な理由

 ウェブ小説の有料販売モデルへのチャレンジへと話を戻そう。
 LINEノベルが2020年8月末をもってクローズしたのと入れ替わるようにして、2020年9月1日には中国系資本の株式会社YANNが運営する「Novelism(ノベリズム)」がオープンした。
 ノベリズムもMAGNET MACROLINK同様に「起点」モデルのサイトである。有料コンテンツは「契約作品」としてサイト内に掲載される。ほぼ毎日更新される契約作品は、冒頭部分を無料で読むことができ、続きは話売り形式で1000文字5円(税抜き)で販売される。
 契約作家には売上額から一定比率が原稿料として還元されるほか、最低限報酬保証(皆勤賞システム)がある月間24日、各3000字以上で新話を更新すると月3万円(税別)が契約作家に支払われる1000文字ごとに金額を区切るのも、皆勤賞システムも「起点」など中国のウェブ小説サービスに存在するものだ。

 契約作品はラノベ作家として活躍する十文字青『第四大戦』など全9作品からスタートし、2022年3月時点で43作品(筆者が確認した限りでは、遅くとも2021年夏頃から増えていない)。これらは「ノベリズム文庫」と題して電子書籍化もされているが、紙の書籍は出ていない。つまりウェブ小説書籍化を前提としないビジネスモデルを採用している。
 ノベリズムは投稿作品の中から優秀なものを有料コンテンツ化することを(当初)謳っており、契約作家にならないと作品の販売はできない。しかし、契約作家にならなくても読者から投げ銭を受け取ることは可能であり、また、作品の閲覧数などに応じて週に一度「貢献スコア」が配付され、それを換金できる。つまり投稿者は誰でも収益化可能である(ただし貢献スコアの換金は2000ポイントから)。

 ノベリズムはユーザー獲得に苦戦していると言われるが、「投稿サイトは最低でも5、6年の時間軸で戦略策定/評価するべき」という筆者の立場からすれば、始まって2、3年程度の投稿サイトの成否を占うことは時期尚早である。とはいえ、ここから複数の映像化、マンガ化が仕掛けられなければ浮上は厳しい。
 現に2021年12月1日には「現在連載している契約作品について、アクティブ数が弊社の想定する数字を達成することが難しく、ノベリズム自体の運営方針を見直さなければならない状況」と公式サイト上で発表している(「「ノベリズム」の今後について」)。

 筆者が過去に中国のウェブ小説事業者と話していてなかなか理解が得られず、中国人と日本人で大きく感覚が異なる点のひとつが「日本人は映像化されてマスメディアで話題になるか、マンガにならないと作品に興味を示さない人が圧倒的に多い」ということだ
 この点は、やはり中国市場と日本市場との大きな違いである、ウェブ小説に関するインフルエンサー、KOL(key opinion leaders)の有無とも関係する。中国ではなろうで言う「スコッパー」のようなウェブ小説の目利きにも著名人が多数おり、彼らがフックアップした作品が伸びることも多いという。

 地上波テレビの影響力が中国では低い代わりに、SNS上に存在する「特定ジャンル、特定タグの愛好家」層がジャンルの動向に影響を与える度合いが大きいだが日本にはウェブ小説作品の人気を左右するほどのKOLは少なく、ランキングとは別の「評価」軸を持ったユーザー群が中国ほどには大きな力を持っているとは言いがたい状態にある
 また、中国ではウェブ小説の方がウェブマンガよりも先に発展したこともあり、日本の出版産業・サブカルチャー産業におけるマンガのポジションに、中国ではウェブ小説が位置している点も違う。人気が出た作品は企画から制作、配信まで、日本での常識的なスケジュールよりもはるかに短期間でウェブドラマ化されるなど、IP展開の速度も違う。
 こうした中国と日本の市場の違いを踏まえてローカライズした中長期戦略を持たなければ、中国や韓国系ウェブ小説事業者の日本市場での成功は難しいだろう。

 MAGNET MACROLINKとLINEノベルは挫折し、ノベリズムは今のところほかのウェブ小説事業者に影響を与えるほどユーザーを獲得できていない。TELLERやpeepもヒット作が出て有料サービスが大きく軌道に乗ったとまでは言いがたく、そもそも「チャット小説」は「ウェブ小説」とは「別物」のものとして界隈ではみなされている。
 そして大手サイトであるなろう、エブリスタ、アルファポリスが劇的に有料販売モデルに転換する気配は見られない。
 ただし、カクヨムは2022年2月から「サポーターズパスポート」という月額480円、740円、1700円の3つのプランで読者が作家に贈れる「ギフト」を購入し、作家は受け取ったギフトに応じて収益を得られる仕組みを導入した。また、オプションでギフト1個150円、10個1400円で追加購入もできる。
 これは先行してノベルアップ+が2021年9月からノベパスという月額有料会員サービスを導入したことに追随したものだろう。ノベパスは月額500円、980円、9800円の3プランを用意し、読者はサイト上で投げ銭などに使えるポイントが得られ、書き手はファイルアップロード容量が増える、といったさまざまな特典が得られる、というものだ。

 カクヨムやノベプラのこれらのサービスは、「起点」の「月票」システムに似ている。「起点」ではユーザーが運営から毎月配付される「月票」を好きな作品に贈ることができ、得票数に応じて月票ランキングが発表される。ただしユーザーが課金すれば追加購入も可能である、というものだ。
 ノベプラでは読者が作品に投じた応援ポイントがランキングに反映されるが、カクヨムでギフト獲得数がランキングに影響するか(ないしギフト獲得数ランキングを別途発表するか)は2022年3月現在では不明である。いずれにしても両サービスは作品自体の有料販売は導入していないが、作家に投げ銭するしくみは導入した。

 中国や韓国のウェブ小説事業者あるいは日本でもマンガアプリでは、あるサービスで成功した施策が出ると、競合企業、なかでもトップやナンバーツーが率先してその施策を模倣して対抗してきた(そもそもトップ争いをしている企業ほど新しいことにチャレンジしてきたし、M&Aをしてきた)。そうして雪崩を打ったように各サービスのビジネスモデルや機能が変化し、互いに似通い、複雑化していった。
 一方で、日本のウェブ小説においては筆頭と言うべき「なろう」が姿勢や施策の変更にきわめて慎重であることから、競合事業者やユーザーのマジョリティが変化の必然性やダイナミズムを感じることがなかった。結果、2010年代以降も有料販売を採り入れたモデルが一般化することはなく、変化はゆるやかである。
「ウェブ小説は書籍化されないとマネタイズできない」という、2020年代現在では奇妙に思えるモデルが、いまだ日本では主流のまま続いている。正確に言えば有料サービスに取り組んでいる事業者は存在するのだが、ウェブ小説事業者の勢力図が大きくは変わらないから「ウェブ小説は無料」という世間の“イメージ”が変わらない。

2019-2022年のウェブ小説書籍化③に続く

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