褒め言葉は二倍に、批判は半分にして受け取ってほしい|エブリスタ便り 5月号|monokaki編集部
「エブリスタ便り」は、小説投稿サイト・エブリスタのスタッフが交代で月1回お届けするコラムです。
小説投稿サイトのスタッフならではの知識や見解を使って、皆さんの執筆に役立ちそうなあれこれをお伝えしていきます。
第1回目はmonokaki編集長のマツダが、ものを書くあなたに贈るメッセージです。
こんにちは。今月よりmonokakiの編集長に就任いたしましたマツダと申します。小説投稿サイトの運営の一環として、小説の書籍化をプロデュース業務もおこなっています。
monokakiはこれまで自前のサイトを使ったメディアでしたが、今月からnoteに舞台を移しました。これからどうぞ、よろしくお願いします。
あなたはどこで文章を書くことが多いですか。noteでしょうか、Twitterでしょうか、小説投稿サイトでしょうか。
このページを開いたあなたですから、主戦場がどこであれ「おもしろい文章を書きたい」「自分の書いた小説を人に読んでもらいたい」そんな思いをお持ちかもしれません。
あなたがものを書く人であれば、ひとつ、どうしてもお伝えしたいことがあります。
自分の欠点を叩いて直すことに注力しすぎないでください。
もっと褒められることに貪欲になってください。
いやいや、欠点があるなら直したいし、批判や批評を真摯に受け止めて切磋琢磨してこそ、ほんとうの実力がつくのではないか。ちやほやされていい気になって、その場に留まっていたら成長がない気がする……そう感じるのも無理はありません。
きっと向上心が強くて真面目な方ほど、ご自身の欠点を気にされていると思います。
うまくいかなかったときには何がだめだったのかと、真面目な人ほど苦しんでしまいます。
でも、これまでにmonokakiで取材した作家さんや、エブリスタで人気の作家さん、作品が書籍になった作家さんとお話すると、皆さんから執筆時のエピソードとして出てくるのは、叩いて直した欠点のことではありませんでした。
読んでくれた人が喜んでくれたページのこと、自分がどうしても書きたかった大好きなもののこと、もらった感想の嬉しさ……そういった、嬉しいことのお話でした。
もちろん、陰で欠点を直される努力もされているのかもしれません。
でもそれよりもずっと強く、大切にされているのは喜びを伝えること、好きなことをつきつめることだと、そう見えました。
当たり前です。文章を読んでおもしろいと感じるとき、その理由は欠点がないからではありません。きらめく魅力があるからです。
これまでmonokakiでも、いろいろな角度からこのことを書いてきました。
さて、インターネットで作品を発表することが当たり前の現代。
批判、批評どころか罵倒や悪口をもらう機会は、比較にならないほど増えました。
ちょうどこの原稿を書いている最中、とても悲しい事件も起きました。
自分に対して厳しい言葉を気にしないのは、とても難しいことです。難しいからこそ、がんばって受け止め方をコントロールしないと呑み込まれてしまう局面があることを覚えておいてほしいです。
1批判されたら100にも拡大して受け止めてしまい、5もらっていた褒め言葉がかき消えてしまう、そんな経験はありませんか。
褒める言葉は二倍ぐらいに拡大して受け取ってちょうどいい、厳しい言葉は少し軽めに受け止めてちょうどいい、攻撃や誹謗中傷は絶対に受け止めなくていい。そう思います。
人間は褒め言葉よりも批判が、愛の言葉よりも悪口が、長所の指摘よりも短所の指摘が、本能的に気になる生き物なのだと思います。
集団生活を前提とした生物である以上、誰かにマイナスの感情を向けられることは自分の生命の危機に直結しうるからです。
極端な話、恋人が「愛してる」と右の耳元で囁いてくれている途中でも、左側から「殺す」と声が聞こえたら左側を向くでしょう。だってそっちは緊急で、危険で、生存本能の領域だからです。
たとえ冷静に発せられた正当な批判であっても、言われたほうは重く受け止めるものです。
でも、きっとあなたが大切にしないといけないのは、あなたの作品を笑顔になったり涙したりしながら読んでくれた人なのだと思います。
あなたの作品を愛してくれた人のリアクションを大切にしてください。批判に耳を傾けるのは、その後で構いません。
なぜなら、あなたの作品の魅力を見つけ出し、唯一無二の輝きを発見したのは、褒めてくれた人だからです。
私のようなオフィスワーカーが仕事の怒られを軽く受け取って褒め言葉だけ気にしていたら問題ですが、ものを表現する行為は違います。
いいねでも、スキでも、スターでも、自分の作品に向けられた好意は、どんな小さなものでも喜んでください。
人が自分の作品で反応してくれたら素直に舞い上がって、次ももっと反応してほしいと貪欲になってください。
エブリスタでは好意的な反応がしっかり書き手に届くための機能開発を重視しています。
それがあなたの作品の魅力をぐいぐい伸ばすことに繋がっていくと確信しているからです。
この「monokaki」は、エブリスタが運営する「物書きのためのメディア」です。
プロもアマチュアも関係なく、心にあたためた物語をかたちにしようとする人へ。
ひとりの道のりが辛いとき。
書けないような気がするとき。
胸のともしびが消えそうなとき。
monokakiを開いてみてください。
前に進むためのヒントが、あるいは新しい希望が、そこにあるかもしれません。
くしゃくしゃにした原稿用紙をもう一度開き、さらなる旅へ出るために。
新しいmonokakiへようこそ。