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エブリスタは「とにかく読者の存在を感じやすい」サービス|教えて! ヘビーユーザーさん|エブリスタ作家インタビュー

2020年6月7日。monokakiの運営母体であるエブリスタは、オープンから10周年を迎えます。

ここまで長くサービスを継続していくことができたのは、ひとえに毎日作品を投稿してくださる作家の皆さんのお陰です。

この10年間でガラケーはスマホになり、執筆を取り巻く環境も激変し続ける中、エブリスタは一番書きやすく、書いていて楽しいサイトであることをめざして、機能追加やコンテスト開催を繰り返し、試行錯誤してきました。

わたしたちが一番大事にしているのは、何よりも「使ってくださっている方の声に耳を傾けること」。
10周年を目前にして、改めて作家さんの声を聞こうと、「作品更新数」「ページコメント数」「レビュー数」が多いヘビーユーザーさんに個別にアポを取り、お話を聞かせていただきました。
今回は特別に、その内容をmonokaki読者の皆さんにも公開します! 名付けて、シリーズ「教えて! ヘビーユーザーさん」。

第一回に登場するのは、作品更新数ナンバーワンの作家・烏海香月さん。毎日4回、それも異なる作品を複数投稿している烏海さんに、エブリスタを使い始めたきっかけ、執筆スタイルについて聞きました。

 個人ブログからエブリスタに移籍したわけ

――小説を書きはじめたときのことから教えてください

烏海:以前に凪良ゆうさんがインタビューで「もともと漫画家めざしていたのが、ブランクで絵が描けなくなって小説を書くようになった」とお話しされていたと思うんですが、わたしもまったく一緒です。子育てがひと段落した頃にはまっていたゲームの夢小説を読むようになり、「自分も書いてみたい」と小説を書くようになりました。
最初は個人ブログで書き始めて、一度は投稿サイトを利用したこともあったのですが、そんなに読まれなかったのでまた個人ブログに戻って……。でも、「もっと多くの人に読まれたい」と思う気持ちはありました。今エブリスタにアップしているもののうちのいくつかは、その当時ブログで書きためた作品です。

――エブリスタを使いはじめたきっかけは

烏海: 2018年の夏アニメ『京都寺町三条のホームズ』です。声優の石川界人さんがきっかけで観ていたら、原作者の望月麻衣さんがエブリスタ出身であることを知って、それを期に登録しました。新作を投稿したらすぐに読者がついたので、手応えを感じて。「このサイトなら読まれる!」と思ったら、個人ブログで書き溜めた作品にも日の目を浴びせたくなって、過去作も少しずつアップしています。それからはずっとエブリスタ一本で書いています。

――他のサイトは使われていないんですか?

烏海:試してみたことはあるんですが、操作画面が使いにくかったり、あんまり読まれなかったりしたので、今はエブリスタに落ち着いています。ファンタジー系が強いサイトだと恋愛系はあまり読まれないのですが、エブリスタはBLや恋愛系でもちゃんと読んでもらえます

――ほかに、他サイトと比較して好きな部分などあれば教えてください

烏海:とにかく読者の存在を感じやすいところですね。リアルタイムの読者数、本棚数、スター数など、いろんな軸があって、それぞれにデータが見られる。日に日にスター・本棚が伸びていくので、「読んでもらっている感」が得られます。作品を更新したときは5分に1回くらい、エブリスタを開くたびに通知が来ているので、嬉しくてつい何度も見にいっちゃいます。通知のマークが可愛いのも好きな点のひとつですね。

――読者からの反応がいろいろある中で、特にうれしいものはありますか?

烏海:全部嬉しいです! スター、しおり、本棚登録、どれも「読んでもらってる」感があって。あえて選ぶなら、本棚登録が一番「読んでもらえてるんだな」と感じますね。
あと、作品に表紙がつくことで「自分のスペース」を感じられるのも、エブリスタの魅力のひとつだと思います。マイページに自分の作品がわかりやすく並べられるので、本屋さんみたいに「ここは私の作品のコーナー!」という感じがして、作品が埋もれにくい


ネガティブコメントとの向き合い方

――スマホとPC、どちらでの更新が多いですか?

烏海: わたしはPC一本で、家事の合間に書いています。朝9時から書き始めて、1本更新したら離れて家事をして、次が10時・11時と、午前中に3作品を更新します。そのうちの2本はもともと個人ブログで書いていたものですが、文章は手直ししてからアップしていますね。午後に1本上げるときもあり、予約公開機能を活用しています。

――アイディアはどういうときに浮かびますか

烏海:作詞作曲家で音楽プロデューサーの梶浦由紀さんが大好きなので、梶浦さんの曲を聴いているとインスピレーションが湧いてきます。執筆するときはもちろん、一日中流しています。音感は綺麗だけど、裏にはドロっとしたものもあるのでは……と感じていて、そこから妄想していくことが多いです。

――キャラ設定やプロットは作りますか?

烏海:「こういう感じのキャラがいる」という設定、名前、年齢、生年月日などは書き出しますね。そのあと、キャラがどういう人生を歩んできたのかを妄想して肉付けしていきます。
ラストは決めますが、プロットは書きませんね。プロットを作ってしまうと、そこで満足してしまうし、新鮮味がなくなるんですよね。「もう一回これを書くのかぁ」となってしまって……(笑)。長編の場合は、前に書いてものを読み直しながら、辻褄が合うように意識して書いています。

――何作品か並行して書かれていますが、スランプになることはありませんか?

烏海:コメントやレビューはとてもありがたい反面、辛辣なことを書かれると、どーんと落ち込んでしまうことはありますね。豆腐メンタルなので……。もちろん、どう受け取られるかは読まれる方の自由なのですが、「このまま書いていいのかな」と自信がなくなるときもあります。
同じように、他の人のすばらしい作品を読むと書けなくなるので、敢えて読まないようにしている部分はありますね。気になる作品があるとつい読みにいってしまうんですが、「すごいなー」と思って落ち込んじゃいます。

――スランプからはどうやって復活するんでしょう……?

烏海:自分で書きたくなる時までは書かないようにしています。無理して書こうと思わずに、書けないなら書かなくていい。「別にプロじゃないし、趣味でやってるんだから、誰にも迷惑かけないしな」って。そうするうちにまた妄想が膨らんできて、書きたいなーと思えるんですよね。長い間書かなかった分、一気に2・3作品書き始めてしまうこともあります。もともと飽き性なんですけど、創作は7~8年続けていて、書くことだけは飽きないですね。


1ページの分量は500文字

――作品を書いている際に意識していることはありますか

烏海:基本的には自分で決めた作品を貫き通したいんですが……。「あんまり刺さらないな」と思ったらランキングを見て、実験的に人気の要素を取り入れてみることもありますね。「うーん、スパダリ系を書いたら読まれるのかな?」とか。もちろん、トレンドを押さえつつも、自分が書きたいものも書いています。あちこち手を出しちゃって、一本に絞れないんですよね。

――文体や、書き方の面でこだわりがあれば教えてください

烏海:頭の中にマンガのコマ割が先にあって、それを台詞にしています。漢字の使い方にはこだわっていますね。あと、自分が見たときに1ページ500文字くらいが一番読みやすいので、1ページの文量は500文字くらいと決めています。エブリスタは下書き中に文字数が出るので、それを参考にしながら。

――「こういう機能があったらいいのになぁ……」というものはありますか?

烏海:リニューアルしてからすごく使いやすくなったので、ほぼ不満はないです。敢えて言えば……先日試験的に導入された「ページスタンプ」機能を使いたいのですが、わたしは「読者からのページコメント」機能をオフにしていて、それだとスタンプもつかないんですよね*。ページコメントをもらう勇気がないので、スタンプだけOKにできたら嬉しいです。

*編集部註:「ページスタンプ機能」は正式導入の際に、「ページコメント」とは別で「受け付ける/受け付けない」を設定できるようになりました!

――これまでエブリスタで活動してきて、一番嬉しかったことは何ですか?

烏海:初めてコメントをもらえたときは本当に嬉しくて、ここで書いてよかったー!と思えました。2作品目の『シュフのススメ』が特集に掲載されて、初っ端からコメントをもらえたからこそ、今まで続けられています。あと、レビューにいいことを書いてくれる読者さんもいて、それも嬉しくてたまらないです。

――エブリスタを薦めたい人がいれば教えてください

烏海:「読者の存在を感じやすい」サービスなので、個人ブログで書いている人、もっと多くの方に読んでほしい人にはオススメですね。リニューアルしてから通知の反応が見やすくなったので、「もっと書こうかな」という気になっちゃいます。特に、恋愛やBLジャンルを書いている人には合っていると思います。

――今後、エブリスタで挑戦してみたいことはありますか

烏海:コンテストがとても多いので、応募してみたいですね。「妄想コンテスト」などの短編の賞は前からいろいろ出していたんですが、この間、初めて優秀作品に選出されました。入賞すると楽しくなってきますね。これから他の賞も頑張ってみようと思っています。

――最後に、烏海さんにとって「創作」とは?

烏海:気が利いたことは言えないんですけど……敢えて言うなら「生きがい」ですかね。執筆は私にとっての唯一の趣味で、家事や仕事以外にやっている唯一のことです。取り上げられたら何をやっていいかわからない。書きたい欲が常にあるので、エブリスタを取られてしまったら困っちゃいます。


烏海香月さんの自薦作品

一時期世間を賑わした且つての歌姫はアラサーを前に歌えないただのピアノ講師になっていた。
歌も恋愛も上手く行かない中で彼女のファンだと名乗る少年が訪ねて来たことから始まる第二の人生──?

「この作品タイトルである『夜明けのアリア』はkalafinaの『ARIA』という曲の歌詞の一部からいただきました。曲調や歌詞を聴いて一気にイメージが広がり其のまま作品にした、思い出深い作品のひとつです」(烏海)