リアリティのある小説の書き方とは。取材の方法が分かる記事5選|小説の書き方/コツがわかる記事まとめ【2020年版】|monokaki編集部
「monokaki」では小説の書き方、おもしろい小説を書くコツなど、頭の中でくしゃくしゃになった原稿用紙をふたたび開き、物語の「つづき」に取り組みたくなる記事を提供してきました。年末の特別編として全六回に渡って小説を書く際のコツやテクニックがわかる記事をまとめたものを公開します。
前回の記事はこちら。
第四回は小説のリアリティと取材方法についてです。
作品の世界観やキャラクターへのリアリティなどは読者を惹きつける重要なものとなります。実際に書き手が体験したことや、体験された方に話を聞くという取材も作品の奥行きを出すためには必要な要素となります。
また、実際には体験できないことや話が聞けない場合には資料などを参考にすることでリアリティが増す効果も期待できます。
小説における取材の必要性とは?
小説に取材は必要なのでしょうか。
「取材はなぜしたほうがよいか。小説というのは乱暴に言うと「見てきたようなウソをつく」作業である。そのウソがリアルであればあるほど、読者も作品に入り込みやすくなる。リアリティを生み出すためには、書き手が資料を実際に見て、触れて、調べて、ホントの事をしっかり消化する必要がある。ホントを知らなければうまいウソはつけない」
取材に置いて重要なものとしては、「行ける所にはなるべく行く」「読めるものは読んでおく」「インターネットと公共施設を使う」という三点が挙げられます。
作品やキャラクターの奥行きができるかどうかは「取材」が決め手になることもあるようです。書店や図書館で関連するもの見つけて、書籍を読むことも作品のベースアップに役立ちます。
筆力を伸ばす書き方とは?
どうしたら筆力が伸びるのでしょうか?
「「ロケーション」でいうと、清涼院流水さんや綾辻行人さんが書くような「館」なんて現実にあるわけないんですよね。そこを成立させるためには、ギリギリでも「もしかしたらあるかも」と思わせるような、入念な作りこみが必要です。設定したロケーションを活かすために、必死でうまい嘘をつく、そういうことが必要なのかもしれません。」
自分が作り上げたい世界観のために何が必要なのか一度考えてから、取材をするべきなのか、資料を探すのかを実行するということも必要かもしれません。
この世にないものを小説に書く際には、そのイメージとなるものをどれだけ集めるか、知っているかでだいぶ違ったものになります。
小説に実体験は必要なのか? リアリズムにこだわらない方法
経験していないからわからない。そう思って筆が止まってしまうこともありますよね。
「体験を小説に書くとき、肝に銘じなくてはならないことは「リアル」よりも「リアリティ」です。リアルとは「本物や現実」のことで、リアリティとは「本物っぽさ」のことです。ちがいを例えるならば……そうですね、高くてまずいカニと、安いカニカマみたいなものです。」
体験することの価値は基準を知ることになります。しかし、リアリズムにこだわってしまうと作品が小さくまとまってしまう可能性もあります。
フィクションにはリアリズムよりもおもしろくするための嘘も必要になってきます。フィクションとはなにかということを考えてみましょう。
取材や下調べのコツ、いつもとは違う視線で世界を見てみよう
取材をするには、具体的にどうしたらいいのでしょうか。
「取材や下調べで何を感じたかを物語にする、というのが執筆の第一歩となっています。京都のはんなりさ、力強さは、現地に行って実際に見たり聞いたりすると一層感じますね。取材させていただくときは、書き留める用の筆記用具の他にICレコーダーも使っています。また、カメラとしてスマートフォンを使っているので、執筆中はいつでも写真を見られるように、パソコンの傍らにスマホを置いています。」
自分の知っている、住んでいる町であっても取材をするという視線を持って歩いてみると、いつもとは違う世界が広がっていくかもしれません。その時に五感で感じたことが物語を躍動させる鍵になるかもしれません。書を捨てよ、町に出よう(マスクをして、ソーシャルディスタンスを守って)。
取材したもののリアリティをどう使うのか
小説のために取材したものを、実際に書くときには何に気をつければいいのでしょうか。
「幸いお話を聞かせてもらった神社もそれぞれルールが違ったりして、神社の生活様式とか最低限のもののラインさえ守ったらあとは自由に書いてます。
作品によって、どれだけ取材したものを使うかどうか。リアリティをもたせたいのであれば従うべきですが、そうではなくて書きたいものがあれば舞台装置としては使って、他はこだわる必要はないのかもしれません。」
取材をしていろんな話を聞いたり、教えてもらったこと、調べて分かったこともすべてを使えばいいというわけではありません。大事なのは書き手が書きたい世界やおもしろくしたいという気持ちです。
最低限のリアリティラインを作品に維持することは必要ですが、それにこだわりすぎると世界観が小さなものになってしまうので注意が必要です。
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