2018年「monokaki」人気記事ランキング
こんにちは、monokaki編集部です。2018年もいよいよ年の瀬ですね。
今年3月に創刊したmonokakiは、この10か月間で97本の記事を配信してきました。
お陰さまで多くの物書き・クリエイターさんからご支持をいただき、編集部一同、大変うれしく思っています。
この1年間を振り返って、人気記事のランキングを発表したいと思います!
実は、monokaki には読み物サイトには通常あるはずの、記事ランキングが実装されていません。
クリエイターさんが抱えている課題はきっとそれぞれ違うので、アクセス数が多いものよりは、各々の興味・関心がわいたものを中心に記事を読んでほしい……というのが編集部の思いです。
なので、このランキングも「これだけいろいろな記事があるんだな~」という、ひとつのきっかけ程度に読んでいただければと思います。
年間ランキングだとどうしても下半期の記事が不利になる……など集計上の事情もありますし、そのほかのおすすめ記事についても言及していますので、併せてご覧ください。
それでは、第10位から、記事内のパンチラインとともにご紹介していきます。
第10位 ずっと****をもらし続けるBL(ハマモ)
エブリスタが開催した10社合同(!)のBL小説新人賞「天下分け目のBL合戦 夏の陣/秋の陣」担当者であるハマモが、毎回おすすめのWeb BLを紹介する「Web BL定点観測」。
この****というキーワードだけで突き抜けた作品を紹介したこの記事が堂々の10位です。
ちなみに、monokakiに流入している検索クエリに「****」は毎月ランクインしています。
異常なこだわりという点で、審査中に一番心に残ったのが、こちらの作品です。
主人公を見ると****が止まらなくなる魔界の男が、とにかく****を漏らし続ける。
***をしてみるなど様々な対処をしつつも、とめどなくあふれる****を抑えきれずに……というお話です。
主人公にも魔界の男にも感情移入できるスキを与えず、ひたすら多種多様な**が出てくるさまは圧巻。基本的な文章構成力に問題が少ないところも、狂気に拍車をかけます。
第9位 「オリジナリティ」って何ですか?(monokaki編集部)
特集を除いた連載の中で、安定的な人気を誇るのがこの「おもしろいって何ですか?」。
折しも今週、創作とインプットの関係が話題になりましたが、「他作品からの影響」を懸念する前に、そもそも「オリジナリティ」って何なのか一回考えてみませんか? という提案です。
たとえば同じ「バトルもの」に絞っても、作者が何を描きたいのかは作品によってさまざまです。
勝利の爽快感なのか、主人公の成長なのか、スリリングな駆け引きなのか……。もちろんその複数だ!ということもあるでしょう。しかし、執筆は取捨選択の連続です。
「このキャラクターのセリフをどっちにしよう?」「この後の展開をどうしよう?」と迷ったときに、「そもそも自分は何の話が書きたいのか」をしっかりわかっていれば、作品にとって最善の選択ができる確率が上がります。
第8位 書く時間よりも、直す時間をたくさん取ること(monokaki編集部)
「新人賞の懐」は、「出版社の新人賞に応募する人っていっぱいいるけど、中の人が何を考えてるかって意外に知らないよね。よし、じゃ皆の代わりに聞きにいこう!」という、非常にシンプルなコンセプトの連載です。
昨日発表されたR-18文学賞 一次選考通過者の中には、monokaki読者のクリエイターさんのお名前もちらほら……!
記事が少しでもお役に立ったなら幸いです。
個人的には、もっとエンタメに寄った作品もあってもいいのかなと思っています。感情の機微を丁寧に描くことと、読書という行為を楽しんでもらうためのエンタメ的な工夫とは、決して相反するものではないはずですが、今はだいぶ前者に意識が寄った作品が多いので。もっと読み手を楽しませようとか驚いてもらおうとか、仕掛けのある小説がくると「おお!」と思います。
第7位 君は知っているか、占いツクールという投稿サイトを(編集マツダ)
「Web小説の森」は、エブリスタの編集マツダがさまざまな切り口からWeb小説の歴史や最新トレンドを紹介する連載です。
「占いツクール」は、運営も意図せずにWeb小説サイトへと進化した独自の生態系を持つサイト。
「夢小説」というワードに「ああああ」となる方、必読。
さらに深くWeb小説について知りたい! という方は、飯田一史さんとの特別対談もあわせてお読みください。
この「読み手が自分の好きな名前を入れ込める」機能をフル活用して作られているのが占ツク内の小説だ。「占い風小説」「小説風占い」とも呼ばれている。
主役の名前は読み手が自由に選べる。つまり自分が主人公の小説が読める。しかも、二次創作も盛ん。自分を主人公にでき、人気コンテンツの二次創作も楽しめるとなったら、後は何が起こるかおわかりだろう。
私も自分の名前を入力してみたら、韓流アイドルグループと同級生になって恋するマツダの小説や、ヒロアカの雄英高校に通うマツダの小説などが読めてしまった。
第6位 時間は連続しているのか、世界はほんとうにあるのか (monokaki編集部)
「Web時代の作家たち」は、毎回編集長・有田の独断と偏見だけで取材先を決めている連載です。
対象は「死ぬほどおもしろい小説を書いている神作家さん」。
ネット上ではまだまだ作家さんのロングインタビューが少ないので、これからもいっぱい紹介していきたいと思います。
この記事では、アジア数都市を舞台にした『未必のマクベス』を中心にお話をうかがいました。
早瀬さん自身が撮影された、旅先の写真が素敵です。
会社にいた30代後半ぐらいから、少しでも休みがあれば国外に旅行に行っていたんです。もう三連休でも逃げ出したくて、香港や台北、足を延ばしてホーチミンシティなどアジアを中心に。香港だけでも4、5回は行きました。
街の風景は思い浮かべながら書いていますね。『未必のマクベス』は作中で雨が降らないんですよ。それは僕が旅行中にあまり雨に当たったことがないか、覚えてないからかもしれません。ホーチミンシティとかバンコクにはスコールが降る時間帯があるんですが、物語の中には出てこないんです。傘を全然差さない。
第5位 「キャラが立つ」って何ですか? (編集ミヤケル)
「おもしろいって何ですか?」記念すべき初回の記事です。
毎回登場するカヴァーガールの「わなびちゃん」を描いているのはイラストレーターの16号さん。
抜群のデザインセンスとキャラクター解釈で、連載に彩りを添えていただいてます。
知っている人にとっては当たり前のことなのですが、ハリウッド的な物語には一定の型があります。
問題を抱えている主人公に、非日常的な出来事が起こり、やがて困難に直面して、圧倒的な窮地に陥るも、大逆転してハッピーエンド、最初の問題も解決してる! 成長した!! やったね!!!(ものすご〜く簡略化してます)
「初めて聞いた!」という人は、名作と呼ばれているようなハリウッドの娯楽映画を観てみてください。冗談みたいに、あらゆる作品がこの定型に当てはまると気づくと思います。
「キャラクターの変化」=「物語」の中で、選んだ行動の積み重ねが、魅力を獲得させていくのです。
第4位 「自由」って何ですか? (王谷晶)
「おも何」から続けてのランクインです。現在も連載を担当いただいている、王谷晶さん初登場の回。
2018年はMe too運動が盛り上がったり、SNS上の発言によって炎上する作家もいたり、作品の内外問わず作家が守るべきポリティカル・コレクトネスが話題になることが多い一年でした。
「ちょっと時代観の遅れた作家」にならないために、何に気を付けるべきかは編集長コラム Editor's Letter でも触れました。あわせてご一読ください。
自由に物語を生み出せば、自由に批判を受けることがある。作品を褒めるのも批判するのもまた、読み手の持つ自由だからだ。小説は自由で、どんなにインモラルでヤバい話も書ける。その代り、発表したら反応が来る。それが甘いものか辛いものかは、作者にはコントロールできないのだ。そして自分の小説が引き起こした結果には、自分で責任を取る必要がある。
第3位 プロットを作りはじめる前の4つの質問(monokaki編集部)
「長編を書くにはプロットを作ろう!」とよく言われますが、そもそもプロットの作り方がわからない……。
そんなお悩みに答えるワークシート作りました!
用意された質問に答えていくと、作品にとって必要な「世界観設定」「ルール」「没入感」「特長」が明確になります。実用性でいえば文句なしのナンバーワンでしょう。
横槍メンゴ先生の美麗な絵とともにお読みください。
たとえば、まったく同じあらすじの恋愛ものでも、「人を好きになることのすばらしさ」を伝えたい作品と、「学ラン眼鏡男子がいかにすばらしいか」を伝えたい作品では、自ずと書き口もターゲットも異なってくると思います。
ここで重要なのは、メッセージそのものに優劣はないということです。「人を好きになることのクソさ」を描いた恋愛ものでも構いません。
創作には、現実世界で抱く感情をなだめたり、増幅させたり、相対化する効果があります。
「このことについてなら、普段から思うことがいっぱいあるし、無限に書けるな」と自分で思えたら、それは「没入感」の第一歩です。
第2位 人生を解釈する光みたいなもの (monokaki編集部)
第2位は、舞台「刀剣乱舞」や「TRUMP」シリーズを手掛ける劇作家・演出家の末満健一さんのインタビュー。
1日当たりのアクセス数だと、ぶっちぎりでこの記事が1位でした。
「もともとは少女漫画家になりたかった」などの未公開エピソードもあり、多くのファンの方に喜んでいただける記事になったと思います。
僕は自分の表現の軸としてオリジナル作品をやっているので、好きなことを自由にやるならそっちでやります。原作モノをやるんだったら、基本的に原作や原作者のマインドを一番に大事にしたい。そうすることで、オリジナル作品では至ることのない考え方や学びも得られますし、そこに意義を感じているからこそ原作モノをやっています。
それにもし逆の立場で自分の作品を人にライセンスアウトしてやってもらうとなったとき、先方から「こちらの好きにやらせてくれ」と言われたら、「だったら人の褌で相撲を取ろうとなんてせずに、オリジナルの作品をやったらいいじゃないか」と思います。
第1位 作家に必要なのは、知識よりも勇気(monokaki編集部)
2018年、最も多く読まれた記事は、「オール讀物」大沼編集長のインタビューでした!
プロ作家志望の皆さんに、最も伝えたかった言葉をタイトルにしました。
monokaki 創刊後最初の特集で、この言葉をいただけたのは幸運でした。
こういった言葉を届けるために、わたしたちは monokaki を作っています。
小説を書いている人、書こうか迷っている人、もれなく全員に読んでほしい、熱いメッセージです。
プロの作家も、本当にみんな苦しんでますよ。自分をさらけ出さないと書けないことって出てくるじゃないですか? それは結局、自分を傷つけることにもなるわけです。それでも書かないと伝わらないと思うから、書く。そうやって書かれた作品が共感を生んでるんです。
苦しんで書くことを続けてきた人たちが、最終的に文学賞の選考委員にまでなってる。その人たちにしてみれば、自分をさらけ出していない作品は「この程度なわけ?」と思われてもしょうがない。
選評を読むと、プロは踏み込みの度合いの深さ/甘さを見ていると、よくわかると思います。そこに踏み込むために必要なのは、知識というよりも勇気です。