キャラクターと話のキャッチーさがタイトルに表れる|「講談社女性コミック9誌合同マンガ原作賞」白土美帆子&川崎萌美&間陽
講談社の女性向けコミックレーベル9誌が合同開催! 主に女性読者が楽しめるマンガ原作を幅広く募集します。
今回の募集の告知に合わせて、メインで作品を募集している3レーベルの編集者さんに、各レーベル毎の特徴やターゲット層だけでなく、コンテストでどんな作品を求めているのか聞きました。このインタビューを読むとどんな作品が求められているのかわかるはずです。興味が湧いたら書いて応募してみませんか? 応募開始は8月1日から、〆切は10月31日です。
今回は「パルシィ」の白土美帆子さん、「BE・LOVE」の川崎萌美さん、「デザート」の間陽さんにお話を伺いました。
飛べないところまで飛ばせてもらうような翼となる原作
――「パルシィ」「BE・LOVE」「デザート」それぞれのレーベルのご紹介からお聞かせください
白土:「パルシィ」は講談社の少女・女性マンガが読めるマンガアプリで、ここでしか連載していないオリジナル作品もあり、幅広いジャンルの作品がそろっています。新人作家さんの活躍の場所にもなっていて、例えば「なかよし」でデビューされた方に「パルシィ」で連載していただくこともあります。
本誌での月一回30ページ以上の連載は新人作家さんにとって大変な面もありますが、こちらでは隔週更新も可能なので、少しゆるやかに自分のペースで連載できるという良い面がありますね。ファンレター機能もありますので作家さんもフィードバックを得やすく、読者の方から評判が良い点は伸ばしていこうと作家さんとお話することもあります。
川崎:「BE・LOVE」はメイン読者層が30代から60代の女性マンガ雑誌です。今年で画業55周年を迎えられる庄司陽子先生の「生徒諸君!」シリーズなどの長寿タイトルもあり、親子二代、三代で読んでくださっている方もいます。さまざまなジャンルの作品がありますが、共通しているのは「人生の岐路に立った人をエンカレッジする」ことで、障壁を乗り越えていく強い主人公が多いかもしれません。
間:「デザート」は今年で創刊26周年を迎える少女漫画雑誌です。タイトル通り、甘いデザートのような、現代ものの恋愛ストーリーをメインに、キュンとして元気をもらえるマンガを掲載しています。主人公は高校生から社会人になりたてぐらいの女子が多いですね。10代後半から20代前半の読者が中心ですが、こちらも幅広い年代層の方に読まれています。「BE・LOVE」読者と同じように、昔から継続して読んでいる方が、お子さんと一緒に読むケースもあるようです。
少女マンガが好きな方は大人になってもずっと読んでくれます。「デザート」を読んで、キラキラした高校時代を思い出したい、まっすぐな恋愛を楽しみたいという方が多いのではないでしょうか。
――皆さんがこれまでに編集をされてきたマンガ作品や編集者としての経歴を教えてください
白土:元は営業部署出身で、編集者になってからは7年ほどですが、これまで「パルシィ」や「なかよし」、「姉フレンド」や「ハニーミルク」などで連載を担当させていただきました。今は原作がある作品ですと、「パルシィ」で連載中の『10年間身体を乗っ取られ悪女になっていた私に、二度と顔を見せるなと婚約破棄してきた騎士様が今日も縋ってくる』(原作:琴子・キャラクター原案:ボーダー・漫画:ぼてまる)という作品を担当しています。
――原作は白土さんが見つけてきたものなんですか?
白土:はい、元々「小説家になろう」のランキング上位作品だったので、見つけてきたというよりは、多くの媒体から引き合いがある中で運良く作家さんからご許可いただけたという形ですが…。異世界恋愛ファンタジーの中でも、貴族の女の子と奴隷が入れ替わるという珍しい設定が面白く、そして毎話ヒキが強いので読んでいて「どうなるの!?」の連続で、これはぜひ漫画化したい!と思いお声がけしました。漫画家のぼてまる先生が描かれる絵がとても綺麗で、絵も話も非常に魅力的な作品だと思っています。
ほかに原作ものでいうと『ギフテッド』(原作:天樹征丸・漫画:雨宮理真)というミステリー作品を担当しています。『金田一少年の事件簿』などを書かれている原作者の天樹征丸先生がオーディションで漫画家を選ぶという企画からスタートした作品なのですが、漫画担当の雨宮理真先生が原作のキャラクターや世界観を何倍にも素敵に面白く増幅させてくださっていて、ネームがあがる度に感動しています。これぞ幸せなコミカライズの形だなと毎話思っています。
川崎:元は児童書の編集をしており、「BE・LOVE」は5年目になります。現在、本誌では『星降る王国のニナ』(リカチ)、『かまくらBAKE猫倶楽部』(五十嵐大介)、『天使の警醒―16年後に目覚めた私―』(斉藤倫)を担当しています。2022年度(第46回)講談社漫画賞少女部門を受賞した『星降る王国のニナ』は、異動したてで右も左もわからない状態から立ち上げに関わらせていただき、漫画の面白さを教えてもらいました。
新鮮な驚きだったのが、読者の方々の反応がダイレクトに伝わってくるところです。毎月一日発売で電子版は日付が変わった0時から読めるのですが、SNSではその数時間前から配信を待ち望む声が聞かれますし、配信での間もずっと考察で盛り上がってくださっています。発売日を心待ちにして当日放課後ダッシュして買いに行ったり、何度も何度も読み返したりするのは子どもの特権だとばかり勝手に思っていたのですが、大人も同じなんだ! 仕事に家事に育児、場合によっては介護までのしかかり、忙しい日々を送る大人の読者がここまで夢中になって読んでくださっているんだ! というのは本当に嬉しい衝撃でした。
――読者さん同士が楽しくやりとりができるのはとてもいいですね。コミカライズ作品はどうでしょうか?
川崎:コミカライズでは『花嫁のれん』(原作:小松江里子 テレビドラマ「花嫁のれん」(原作:小松江里子 脚本:小松江里子・青木江梨花 制作:東海テレビ・テレパック)・漫画:岡峯有衣子)を担当しました。原作は第4シーズンまで放送された大人気の昼ドラで、漫画家さんに翼を与えてくれて、ひとりだけでは見られない景色を見せてくださった作品だと思います。
――原作があると物語の核がすでにあるので、漫画家さんがそこから特化させたり、漫画家さん個人の個性が上積みされることでより立体的になる感じでしょうか?
川崎:そうですね。漫画には強いキャラクターや、ヤマとヒキがしっかりしたストーリーが必要ですが、原作がそれを担保してくれることで、漫画家はどう演出するかに注力でき、その結果、長所を生かして、作品を大きくすることができると思います。自分の脳みそでは思いつかないようなストーリーをもらえるというのは漫画家さんにとっても刺激的なのではないでしょうか。
間:私は小説の営業部署から異動して、マンガ編集者として丸2年です。今は「デザート」と「姉フレンド」というちょっとお姉さん向けの雑誌の編集をしていて、「デザート」では『ひかえめに言っても、これは愛』(藤もも)を担当しています。
コミカライズとしては、『カリスマ ~きょうもへいわです~』(原作:Dazed CO.,LTD.、松原秀・漫画:萬田リン、入野イオリ)を担当しています。原作のファンの方から「公式からの供給」と喜んでもらえることも、マンガを読んで原作にハマったと言ってもらえることもあるんです。コミカライズを担当したことで、コンテンツが大きくなる瞬間に立ち会えました。
タイトルがまったく思い浮かばない作品はキャッチーさがない
――コミカライズ原作になるような小説を書く際に気をつけてほしいことなどはありますか?
白土:設定やテーマ、登場人物のキャラクターや話の展開、全てではなくても良いので上記のいずれかに「キャッチーさ」が求められるのかなと思います。漫画家さんだけでは考えられないようなアイデアのある作品がコミカライズされる印象です。
例えばこれは私も経験のあることですが、お話は作ったもののタイトルを何にするか思い浮かばないというケースがあって、それは多分そのお話の売りどころが見つかっていないということなんだと思います。設定やテーマ、キャラクターやお話、どこかにその作品にしかない個性があれば、自ずと読者を惹きつけられるタイトルが思いつくはずです。
電子書店だとタイトルで読者に読みたいかどうかを判断されるのでタイトルは重要ですね。また1話目は試し読みできるよう無料になっているケースが多いので、1話目から引き込まれる展開があったほうが良いです。
――試し読みで1話だけ読んで、そこしか知らないという作品もありますね
白土:はい、その先を読むかどうかを1話目で判断されるので、このキャラクターが最高だとか、この先の展開を知りたいとか、読者に作品を読み続けたいと思わせる要素を盛りこめているかどうかは重要です。
また、この作品を読むと感動できるとか、最高にカッコイイ男子との恋を楽しめるとか、またはドキドキハラハラできるというように、作品を読むことでどんな感情を得られるのかをわかりやすくプレゼンできるとより良いと思います。
川崎:児童書を担当していた時は、書きおろしの単行本だったこともあり、最後まで読んでもらえるのが前提でした。だから、1冊の中に起承転結があり、山場が後半にくることが多かったのですが、マンガは1話の中に強いヤマとヒキがなければいけないと感じています。特に1話目はいかにおもしろい作品かを提示し読者に期待させなければならないな、と。コミカライズ原作は、キャラクターの強さ、1話ごとのヤマとヒキ、そしてマンガ的なハッタリや大ゴマで描きたくなるような絵場面を意識していただけると嬉しいです。
間:誰が読んでもマンガになったらここが映えるだろうなっていう「見せ場」というか、絵として目立つシーンを意識して入れてほしいです。小説は頭の中に「状況」を浮かべて楽しむものだと思うんですけど、それをそのままマンガにしても静物画を眺めるような、起伏の小さい地味なマンガになってしまうことがあります。
――それぞれのレーベルで今回特に求めている作品について教えてください
白土:今回「パルシィ」が一番欲しいのは甘い大人の恋愛ものの原作です。マンガを描く人と原作を書く人が分かれている作品が近年増えてきています。それは異世界ファンタジージャンルの盛り上がりとも関係していると思うのですが、現代恋愛ジャンルでもそういう作品がもっと増えていいのかなと思います。
あとは契約結婚や偽装恋人などの普通の恋愛にちょっとキャッチーさがあったり、性的な悩みを抱えている男女の恋のような、キャラクター自体にキャッチ―さがあるものが読みたいです。実は溺愛されていたとか男性から甘い言葉をささやかれるとか、結局みんな好きだよねという王道的な要素が入っていると尚良いです。キャッチーさも重要ですが、やはり「皆が好きな王道」をおさえていてこそ読者に広く読まれる作品になると思うので、欲張りですが、個性と王道、両輪の作品をお待ちしています。
「パルシィ」だと担当作ではないんですが、『恋ヶ窪くんにはじめてを奪われました』(美麻りん)などは主人公キャラに共感できて、かつ理想の男子も描きながら読者が読みたい王道展開も網羅しているので素晴らしい作品だと思っています。キャラに共感という点でいうと、大人の恋愛ものにはリアリティーがある程度ないと難しいと思うので、そこはエブリスタで執筆されている作家の皆さんのお力をお借りできると嬉しいです。
川崎:「BE・LOVE」が欲しいのは女性向け異世界ファンタジーです。特に魅力ある主人公が能力を使って自分の運命を切り開いていくような作品を募集します。主人公のチートぶりが気持ちよかったり、障壁を乗り越えようとする姿を応援できるようなものが読みたいです。
間:「デザート」では専門の職種についている「職業男子」のカッコよさが伝わるラブストーリーを募集します。もちろん書く方が、その職の当事者でなくても大丈夫です。小説を書く上でたとえば取材やインタビューをして、職に知悉しているのがわかるような、リアリティーのある世界を見せてほしいです。本やドキュメンタリー番組などでめっちゃ調べるのもありです! 実際がどう、よりも実際にありそうと思わせることのほうが大事だと思います。たとえば「デザート」連載中で映画化もした『モエカレはオレンジ色』(玉島ノン)は消防士の男性とのラブストーリーですね。過去には、「別冊フレンド」に掲載された『PとJK』(三次マキ)もヒットしました。こちらは警察官との恋を描いた作品です。
消防士や警察官などフィジカル重視なものだけではなく、ユーチューバーだったり、そういう最近の世相を反映したヒーローなんかもおもしろいなと思います。落語家や狂言師など、伝統芸能の世界にたずさわる男性も気になります。職業というと幅広いので、固定概念にとらわれないで書いてほしいです。
恥ずかしがらずに妄想力を爆発させてほしい
――今回のマンガ原作賞で出会いたい作家像を教えてください
白土:大人の甘い恋愛ものがたくさん書ける人や、カッコいい男性を書くのが好きだという方だとうれしいです。こういう男性が好き、こんな仕草に萌えますよねっていう会話からいろいろとエピソードが生まれてくるので、一緒に語り合える方だといいですね。最近は展開の早い作品が好まれる傾向にあるので、恋愛漫画でもゆっくりと関係を進めるというよりは、エピソードや展開を盛り込んで続きが気になるもの、1巻ごとにヒキを作るのが上手い方だと尚嬉しいです。
次点で募集したいのが、恋人や結婚相手が秘密を抱えているなど、少しサスペンス要素のある作品です。サスペンス系だとしても、ただ怖さやハラハラだけだと読者が辛くなってしまうので、どこか救いがあるような恋愛展開や段々主人公が救われていってスカッとするというような面もあるとより良いと思います。
川崎:異次元の驚きを与えてくださる方ですね。破綻していても構わないので、とにかくこのアイデアすごいなって驚かせていただきたいですし、世代とジェンダーを超えたところにある「おもしろみ」や「新しさ」「アイデア」が豊富にある方だと嬉しいです。
間:「デザート」のメインターゲットである10代や20代読者が憧れる、ドリームがつまったラブストーリーが書ける人です。ある職業男子とのすっごいドキドキするシチュエーションだったり、すっごいワクワクする世界を見せてほしいです。直球の恋愛シーンを書くのは照れ臭いって方もいると思いますが、読者は何よりそれが読みたいんです。この男子にこのシチュで助けられたら最高だな、こんなふうに構われたら恋に落ちちゃうなみたいな、妄想力を爆発できる方を求めています。職業に対するリアルと、恋愛に対するドリームがかけ合わさったような作品はとても魅力的だと思います。
――作家さんの妄想力によって読者を救うような?
間:はい、お話の全体のうまさというよりもこの見せ場がたまらん、こんなシチュエーションで攻められたらたまらん、みたいなものがあるとすごくうれしいです。ちょっとエロくてもいいし、男らしさが見えるところでもいいと思うし、この展開をぜひマンガでやってほしいという欲望をぶつけてほしいなと思います。
――今後注目しているジャンルなどはありますか?
白土:いつの時代も恋愛ものは強いのかなと思うので、そこにより注目していきたいです。王道恋愛、それこそエブリスタ原作のものだと『いつわりの愛~契約婚の旦那さまは甘すぎる』(原作:上乃凛子・漫画:金森ケイタ)や『癒やしのお隣さんには秘密がある』(原作:梅澤夏子・漫画:嶋伏ろう)など先が気になるものは強いなと思っていて、そういうものを作りたいです。
川崎:女性向け異世界ファンタジーだとほのぼのスローライフ系に注目しています。「BE・LOVE」本誌向けだと真逆ですがイデオロギーのあるエンタメに注目している、というより探しています。例えばLGBTQ +や環境問題など社会的な問題を扱った作品です。
問題が大きいと、正しく書かないといけないという配慮が先に立ってしまい、どこか教科書的になりがちですが、それをエンタメに昇華させた作品を読みたいです。
――乙武さんの『五体不満足』が出版されて以降も障害をタブーにしたままだったりとか、本当はある問題を見て見ないふりをしてきた側面はありますね
川崎:社会的な問題を描くのがこわいというのは根本にあると思います。誰かを傷つけるものになっていないか、という視点は常に必要ですし。ただ、マイノリティを描くからといって、その代表になる必要はないのかな、と。マジョリティと同じくらい、マイノリティも多様であるわけなので。
たとえばLGBTQ+と一括りにしたって、その中にはさまざまな人がいる。同じ事柄についても、誰かはイエスでも別の誰かはノーかもしれない。全ての声を取りあげなければと配慮しすぎると、着地点が見つからず、作品としてはぼやけてしまい、訴求力が落ちてしまう気がします。それよりは、向かい風を恐れずに何か一つ主人公になりきって答えを出してほしいです。ちゃんとしたエンタメとして扱うほうがすそ野は広がり届く人も増えると思うので。
――今世界に起きている問題をエンタメに昇華するというのは大事なことですね。当事者でなくても自分事としてしっかり考え抜いたもので答えを出してほしいですね。間さんはどういうものが気になっていますか?
間:私はいま流行っているものが気になります。たとえば編集部の中では韓国ドラマやオーディション番組だったり、『SLAM DUNK』の推しキャラの話が盛り上がっています。他には本屋大賞で1位を獲った『汝、星のごとく』だったり、最新の美術展やファッションの話もします。
流行りのものには今を生きる人たちの欲求や願望が込められているので、少女マンガに限定せず世の中を広く見て、何が流行っているのかアンテナを張りたいと思っています。こういうことって作家との打ち合わせでの話題になるし、それで作品やキャラクターの幅が広がることにつながったりします。
――今流行っているものを自分なりにおもしろいかどうかを判断していくことも大切になりますね
間:いろいろと興味あるジャンルを何個か持っておいて、作家と「好き」が合致した時にやりましょう、と企画を進めることが多いです。
――応募原稿を見るときに、特に留意する点はどういったところでしょうか
白土:その作品の売りを決めたら中身に反映するということでしょうか。例えばタイトルに「溺愛」と入っているのに本編を読んだら大して溺愛していない作品があると、それは読者の期待を裏切っていて勿体ないのかなと思います。
またキャッチ―さがあっても、それが“出オチ”になっていないかもチェックしたいポイントです。やはりこれならこんな面白い展開もできるぞ、と先々の展開を色々と思いつくような発展性のある設定が大事だと思います。
あとは小説だと会話が面白ければ成り立ちますが、漫画は会話劇だけでは成り立たないので、しっかり動きのあるエピソードが入っているかも注目したいです。
川崎:基本的には先ほど申し上げたことと重複しますが、キャラクターの強さ、1話ごとのヤマとヒキ、そしてマンガ的なハッタリや大ゴマで描きたくなるような絵場面でしょうか。キャラクターの書き分けやストーリー展開も重要ですね。読み手を喜ばせるサービス精神が旺盛な原稿が好きなので、そのあたりも注目しています。
間:応募原稿は減点方式ではなく、おもしろいところはないかと加点方式で見たいと思ってます。もしかしたらここはいいんだけどここは書きすぎかも、という場合は、漫画表現では少し変えることも相談します。その時はご対応いただけるとありがたいです。
ほぼオールジャンルでお待ちしています
――応募する際には漫画を意識したほうがいいのでしょうか? するとしたらどういう箇所を意識するのがいいでしょうか?
間:エブリスタさん原作でコミカライズされた『醒めない眩暈』(原作:藤川巴・漫画:笠間あやめ)の漫画担当、笠間あやめさんが「自分では考えつかないようなシーンを描くことで勉強になりましたし、新しい扉が開いた感覚があって楽しかったです」とおっしゃっていました。
先ほど言ったように漫画を意識することはすごく大事なんですけど、一方でそれに原作者の方が捉われすぎる必要はないと思っています。漫画家にとっても小説の文章と行間から読み取ってマンガに起こすというのは、自分の新しい可能性を広げるチャンスになりますので、原作者として完ペキにカバーしないと、と思わなくて大丈夫です。おもしろい話を作ることに専念してもらってマンガにするのは漫画家の仕事と思っていただければ。
白土:最近だとマンガは原作、ネーム構成、作画みたいに分かれているところもあります。
川崎:さらに原作、イラスト原案、ネーム構成、作画と分かれているものまでありますよね。
白土:そこまで求めるのは申し訳ないなと思いながら、やはり小説とマンガで書けるものは違うのでマンガを読んでいてマンガのセオリーがわかっている方がマンガの原作者としてお付き合いしやすいですし、マンガになりやすいのかなというイメージがあります。人気のあるマンガを読んで特徴みたいなものをとらえていただけるとよりいいのかなという気がします。
例えば意外と小説だと登場人物が多かったり設定が複雑でも読めばわかるようなことが、マンガでは主人公視点で動くので情報が処理しきれないことがあります。もちろんコミカライズする時に小説からある程度変更をご相談することもあるので、マンガを意識しすぎなくても良いと思うのですが。
――原作で展開が遅いものとか説明の場面とかは入れ替えたりしてマンガにすることはありますよね
川崎:そうですね。どうしても小説とマンガだと、求められるスピード感が変わってくるので、原作を大事にしつつ、マンガとして表現するならどうか、ということを突き詰めていくと思います。
――ほかの漫画原作新人賞と比べて各レーベル、あるいは講談社ならではの売りがありましたら教えてください
白土:それぞれのレーベルで求めているものが違うので、幅広い賞になっているのかなと思います。応募者の方ご自身が書きたいものがどこかに合致すると嬉しいです。
川崎:いろんな媒体が出ているので、女性向けコンテンツのほぼオールジャンルを押さえているところがメリットでしょうか。ご自身が描きたいものがハマる媒体が見つかりやすいと思います。
間:同じくです。つけくわえて営業出身の観点から言うと、講談社は作品を売る体制がしっかり整っているので、それは大きな売りです。そしてライツ部署もめちゃくちゃ強力なので多くの読者に求められれば、実写化アニメ化につながったり、それによってコミックスがたくさん売れたりと、無限に世界が広がっていく可能性もあるので、ぜひビッグドリームをつかんでほしいなと思います。
――応募原作がマンガ以外のコンテンツに発展していき、より多くの方に届く可能性があるのは夢があります
白土:そうですね。講談社はライツが強いので、人気作になると映像化などの二次展開も視野に入ってきます。
川崎:電子の営業がかなり強いです。
間:フェアも頻繁に組んでやらせてもらっていて、書店横断もやっています。
――最後に、作家志望の書き手に向けて、メッセージがあればお願いします
白土:いろいろと要望を言ってしまったんですけど、ご自身で書いていてここを推したいとかこの話はここを楽しんでほしいというのが伝わってくる作品を読みたいです! そのためには作家さんが楽しんで書くことが一番だと思うので、難しいことは考えすぎず、まずはご自身の書きたいものをぶつけていただけると嬉しいです。ご応募お待ちしています!
川崎:そうですね、まずはご自身の書きたいものをぶつけていただけると嬉しいです。今が完璧である必要は全然ないので、一緒に作品を育てていけるとよいなと思っています。ご応募お待ちしております!
間:迷っていたらやめるのではなく、まずはぜひ応募してみてください。スタートしていただくことが、最も大切なことだと思います。
(インタビュー・構成:monokaki編集部)
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