見出し画像

2000年代後半のウェブ小説書籍化(後編) ケータイ小説以外の動向|飯田一史

 メディア上ではケータイ小説に注目が集まっていた2000年代後半には、ようやくファンタジーのウェブ小説書籍化からヒットが登場し、異世界「転移」の書籍化作品もついに現れた――異世界「転生」はおそらくまだだったが。
 今回はケータイ小説以外の2000年代後半のウェブ小説書籍化の動きについてまとめてみていく。

2000年代後半のアルファポリス 『レイン』『虹色ほたる』『THE QUIZ』

 05年には吉野匠の代表作『レイン』がアルファポリスのドリームブッククラブを通じて書籍化され、最終的にはシリーズ累計100万部に達する。
 黒衣の剣士レインが無双するファンタジー小説である。
 吉野はラノベ新人賞に投稿していたがなかなか通らず、自分の楽しみのために書いたという。これが吉野のデビュー作にして最大のヒット作となる――が、四六判単行本で刊行された『レイン』を当時「ライトノベル」とみなしている業界関係者は少なかった(2000年代半ばに刊行されたライトノベル関連ムック『ライトノベル完全読本』シリーズや『このライトノベルがすごい!』でも取り上げられていない)。
 当時はラノベから一般文芸への「越境」や、ミステリーのレーベルである講談社ノベルスで書いている西尾維新はラノベなのかどうか、あるいはラノベ市場の大きさといったことに議論は集中していた。ウェブ小説がラノベの供給源のひとつであるとみなされるようになるのは、ここからさらに数年を要する

 管見の限りでは、商業媒体で『レイン』を「ライトノベル」として扱った最初期の例は「本の雑誌」2011年2月号(90-91p)掲載の鏡明「連続的SF話321 SFネイティブの書き手 吉野匠と川原礫が気になっているのだ」において――つまり2010年代に入ってようやく――である。
 鏡は2010年のSFベスト作品について考えたさいに吉野匠、川原礫のことが気になったと書き、両者をファンタジーでありライトノベルだがSF的な仕掛けがある、としている。また、両者ともに設定に関して後出しジャンケン的な部分があるとも評し、「もとはネット・ノベル。プロットやら伏線ということよりも、キャラクターを設定したら、とにかく書いてしまうということの結果なのかもしれない。その意味では、これまでの小説の評価基準とは異なるものが生まれているという気がする」と論じた(91p)。
 余談ながら鏡の同エッセイは、商業媒体に載った「ウェブ小説」論(商業出版されたウェブ小説を、ミステリーやファンタジーやSF、ライトノベルといったジャンルの小説として語るのみならず、「ネット発の小説」というカテゴリーの作品として特徴を捉える論考)という意味でも早い部類に入る。

 話を2000年代後半のアルファポリスに戻す。
 川口雅幸が個人サイトで04年5月から05年9月まで連載したタイムスリップもののローファンタジー『虹色ほたる』がドリームブッククラブを通じて06年11月に出版化が決定、07年7月に刊行して話題となり、同作がきっかけでアルファポリスの登録件数は倍増したという。06年にはアルファポリス文庫も創刊され、市川拓司作品など単行本で人気だったものの文庫化も始まった。
 同07年11月には、12年9月にTVドラマ化される椙本孝思のデスゲーム・クイズ番組小説『THE QUIZ』も刊行されている。椙本は02年11月にアルファからデビューした作家である。

 アルファポリスは02年に市川拓司(市川たくじ)の恋愛小説、05年に異世界ファンタジーの『レイン』、07年は感動ものの『虹色ほたる』とホラーの『THE QUIZ』がヒットと、まったくジャンルの異なるヒットを創業から数年で生み出したことになる。
 これは、売れ筋が比較的集約されてきた近年のアルファよりもジャンル的な振れ幅が広く映るのではないか。創業初期にはまだまだ刊行点数が少なく、とくにヒット作が少なかったがために書き手も編集者も「こういうものが当たる」という経験則(や思い込み)が希薄で、それゆえに質的に多様な作品が集まり、かつ、刊行点数が少なかったために個々の作品がそれなりに目立ちやすかったことが背景だろう。
 どの小説投稿サイトもそうだが、同じジャンルでヒット作が2、3続くと一気に似たような作品が増え、書き手も読み手も「こういうサイト」という印象が形成されていくことになる
 アルファポリスは、ドリームブッククラブ内に作品公開(=投稿)機能を持たせていただけでなく、作家が自ら登録してタグを付けられるウェブ小説のリンク集=マッチングサービスとしての機能もよく使われていた。Arcadiaや「なろう」が複数の書き手が集まる「投稿サイト」として勢力を伸ばす以前は個人サイト発の作品も多く、読者が読みたい作品を探すのも一苦労だったためである。つまり「リンク集」の運営元として、アルファポリスには多様な作品・作家が集まりやすい環境にあった。
(これも余談だが、Arcadiaもウェブ小説の「捜索」掲示板としての機能も重要だったし、「なろう」はウェブ小説を検索する煩雑さを感じた創業者の梅崎祐輔が「まとまって小説が読めるサイトがあればいい」と思いついたことから生まれている)。

 ここまで述べてきたヒット作によって資本が蓄積されたアルファポリスは、08年1月に出版申請制度、2月にアルファポリスWebコンテンツ大賞を開始する。
 ドリームブッククラブは購入型クラウドファンディング(本の予約販売)と融資型クラウドファンディング(本の制作資金の出資者が印税を受け取るしくみ)の組み合わせだった。
 一方、出版申請制度やWebコンテンツ大賞では、本を出したい人が申請または賞に応募し、その作品に対して「読者からの評価」は募るが、ウェブ上で人気が確認できた作品の「出版に必要な資金」は募らず、アルファが制作資金を負担する。
 以降アルファはこちらに力を入れていくつもの新人賞を主宰するようになり(たとえば個人サイト発の鈴木麻純『蛟堂報復録』がアルファポリスミステリー小説大賞を受賞して09年4月に刊行され、ヒット)、10年7月をもってドリームブッククラブは終了する。


はてなダイアリー発のWizardry二次創作小説 『迷宮街クロニクル』

 同時期のほかの出版社の動きにも目を向けてみよう。
 08年11月からGA文庫より林亮介『迷宮街クロニクル』が全4巻で刊行されている。これはRPG『Wizardry』を下敷きに、2003年の京都に迷宮が現れたら? という視点で(おそらく)03年11月からブログサービス「はてなダイアリー」上に書かれたウェブ小説『和風Wizardry純情派』を加筆修正の上、書籍化したものである。
 これがなぜこの時期にソフトバンククリエイティブ(現SBクリエイティブ)から出たのかを考えると、同社が08年9月に咲良色のケータイ小説『君のせい』を刊行していたことは無視できないように思われる。

 第二次ケータイ小説ブームは05年10月にスターツ出版から刊行されたChaco『天使がくれたもの』を起点とするが、それから約3年経って「ケータイ小説の書籍化がいけるなら、ほかのサイト発の人気作の本もいけるだろう」という感覚が同じ会社内の複数の編集者に芽生えていたからではないか。
 なお、『迷宮街』の「二次創作だが設定が著作権違反にならないよう改稿して書籍化」は、『エヴァ』の二次創作を元にした『福音の少年』(03年刊、07年6月に徳間デュアル文庫版刊行)と同じやり方である――ただしこれが一般化することはなかったが。

 デュアルはラノベとSFの中間的なレーベルだったが、GA文庫はまがう事なきラノベレーベルである。つまり『迷宮街』はラノベレーベルからのウェブ小説書籍化作品としては米澤穂信『氷菓』以来かもしれず、さらに言えば『氷菓』は改稿のうえ新人賞に投稿された作品だが『迷宮街』は2010年代には一般化する「ウェブで人気になった作品に版元が書籍化をオファー」したパターンである点が特筆に値する
 こののちGAの新人賞にはウェブ発の『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』や『ゴブリンスレイヤー』が投稿され、受賞ののち刊行されて人気を博すことになるが、これは応募側に『迷宮街』書籍化のイメージがあったからかもしれない。

 『迷宮街』は群像劇であり、はてなダイアリー上では投稿日順に読むだけでなく、タグを辿ってキャラごとの視点でまとめて読むというウェブ小説ならではの読み方ができた。だが書籍版では、96年9月巻のP.E.P、監修鴻上尚史『ペプシマン〈インターネット小説〉』(ぶんか社)が「ハイパーリンクで飛んでいけるウェブ的な楽しみ方をゲームブックスタイルを採用することで本で再現する」という試みはなされなかった(できなかった)。2000年代にはケータイ小説は横書きで書籍化された、つまりネット上での表示と紙での表示を似せようとしていたのがせいぜいで、00年代後半以降のウェブ小説書籍化では、「小説」として違和感のないかたちで、縦書きでリニアな展開をするスタイルで紙の本に収められるほうが圧倒的に主流になっていく


2000年代後半の女性向けウェブ小説書籍化を牽引したレガロシリーズ

 2000年代後半の女性向けウェブ小説書籍化で重要なのは、07年8月創刊のイースト・プレスのレガロシリーズである。
 レガロから刊行された作品でもっとも有名なのは、創刊ラインナップである梨紗『華鬼』だろう。『華鬼』は著者個人サイト発(04年連載開始)で09年11月に映画化、10年7月に舞台化、11年3月にゲーム化された。書籍化の際の惹句は「アクセス数360万突破! オリジナル恋愛ファンタジー小説サイト『小部屋の小窓』の人気ナンバー1小説」。
 また、やはり著者個人サイト「therehere」上に連載されて人気を博した河上朔『wonder wonderful』(08年9月)はファンタジー小説のファンからも高く評価された。
 そしてレガロから08年7月刊行された時生彩『つがいの歯車』がウェブ小説書籍化では初の異世界転移ものではないかと思われる。同作は成人式の会場に向かう途中で足を滑らせ意識を失ったカナエが気がつくと異世界におり、助けてくれた貴族のすすめでその国の若き皇帝と結婚することになる、というロマンスであり、「アエカナミ」というサイトに書かれたものだ。
 レガロはケータイ小説を除けば明確に「ウェブ小説(ネット小説)を書籍化する『レーベル』」を謳った最初の例だろう(09年創刊のアルファ「エタニティブックス」より早い)。ただ『華鬼』などの成功があったもののレガロは規模を拡大せず、2010年代になると刊行点数を減らし、レガロを手がけた編集者・安本千恵子は、13年2月創刊のTL(ティーンズラブ小説)ソーニャ文庫に携わるようになる。


2009年に揃った10年代の鍵 エタニティブックス、『王様ゲーム』『SAO』

 2009年になると、現在のウェブ小説書籍化につながる動きが次々に揃う。

 09年3月にはアルファポリスが風『PURE』より現代を舞台にした大人の女性向け恋愛小説レーベル・エタニティブックスを始める。『PURE』は「白」、6月刊の久石ケイ『ため息の数だけ…』は「無印」、9月刊の広瀬もりの『片側の未来』は「赤」。
 色は性描写の程度を表しており、白は「性描写なし」、ロゼは「軽い性描写あり」、赤が「一定以上の性描写あり」。ほかにも「Rouge」「blanc」と細かく分かれている。
(Internet Archive上でアルファポリスのサイトを確認すると、エタニティブックスは『片側の未来』と同月刊の綾瀬麻結『Promise 誘惑のゆくえ』が最古のラインナップになっているが、ネット書店でアルファポリスの本を検索すると『PURE』がエタニティブックスでもっとも古い作品としてヒットする。また、現在のアルファポリスのエタニティブックスの書籍一覧ページでは08年9月刊の久石ケイ『ハウスメイド』がエタニティ・赤の最古のラインナップになっており、正確にどれを始まりとすべきかが定かではない。『ハウスメイド』や『PURE』は遡ってエタニティ扱いにされたのかもしれない)
 いずれにしろアルファポリスは「ロマンスに強い版元」というイメージがこの頃から強まっていく

 レガロとエタニティを並べると、10代向けの第二次ケータイ小説ブームからやや遅れて、ウェブ上に書かれた大人の女性向け恋愛小説の市場が発見されて書籍化ラッシュが始まったことがわかる――そして2010年11月には如月ゆすら『リセット』を創刊ラインナップとして女性向けのファンタジー恋愛小説のレーベル、レジーナブックスが始まる。『リセット』がおそらくなろう発で最初に書籍化された異世界転生作品である。異世界転生作品の書籍化は、女性向けファンタジーから始まったのだ。
 なおアルファは2009年4月にモバゲータウン発のホラー小説である二宮敦人『!』シリーズも刊行しており、これは累計17万部のヒットとなっている。今ではモバゲータウン(現エブリスタ)に投稿された作品がアルファポリスで書籍化されるケースはほぼなくなっているが、このころのアルファはまだ、「なろう」も含め、自社プラットフォーム以外からの書籍化が中心だった。

 また、2009年には双葉社がモバゲータウンにて2月から連載開始された、ぱっくんちょによるホラー小説『王様ゲーム』を作中の主人公と同名の「金沢伸明」名義で――おそらくこれは第二次ケータイ小説ブーム期の作品が主人公と作家を同じ名前にしていた流れを汲んでいると思われる――11月に書籍化されている。

 双葉社は06年2月刊のYoshiの『翼の折れた天使たち 海』『翼の折れた天使たち 空』でケータイ小説に参入するも、予想していたほどの売上ではなかったことで『天くれ』以降のトレンドの変化を察して方向転換。魔法のiらんど上で人気だった『恋空』の書籍化権獲得に動くがすでにスターツ出版に決まっていたことものの『また会いたくて』の書籍化権獲得をきっかけに第二次ブーム作品の書籍化に参入(杉浦由美子(『ケータイ小説がウケる理由』中公新書ラクレ、165-167p)。
 この時期の典型的なイメージのケータイ小説に留まらず、魔法のiらんど発のホラー小説Saori『呪い遊び』(06年12月刊)なども手がけている。また、07年6月刊の『恋空』コミカライズ(累計150万部)などマンガ化も始め、さらにはこうした流れからほかにもネット発コンテンツの書籍化に力を入れ始めていた。
 これらを通じて獲得したノウハウを活かし、モバゲー発の『王様ゲーム』を「書店で山田悠介の隣に並ぶように」という営業戦略を敷いたことが、見事ヒットさせることにつながる。双葉社が手がけたケータイ小説、『王様ゲーム』、のちの「小説家になろう」書籍化レーベル・モンスター文庫、いずれも中心人物は編集者の宮澤震である。
 また、双葉社は同年9月に、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)のニュー速VIP板発のマンガ・小説投稿サイト新都社(05年2月開設)に06年3月~9月に投稿されていた青春(?)学園もの『オナニーマスター黒沢』を、伊瀬勝良『キャッチャー・イン・ザ・トイレット』として単行本化してもいる。
 10年代のモンスター文庫創刊や住野よる『君の膵臓をたべたい』書籍化などへの布石は、2000年代半ば頃の双葉社にはすでに存在していたのだ。

 09年には『アクセル・ワールド』(『AW』)と『ソードアート・オンライン』(『SAO』)も書籍化されている。
 2007年からArcadiaで発表された攻打引『超絶加速バースト・リンカー』が翌年改稿の上に電撃小説大賞に投稿されて大賞を受賞し、09年2月に同作は電撃文庫から書籍化される。これが川原礫『アクセル・ワールド』であり、川原が九里史生名義で個人サイト『WordGear』(02年11月~08年7月連載)で掲載していた『ソードアート・オンライン』を同年4月から電撃文庫で刊行していく

 角川グループ(当時。現・KADOKAWA)ではほかにベテラン作家の寮美千子がウェブ上に発表したファンタジー小説『夢見る水の王国』が角川書店から書籍化されているが、これを除けば、一般文芸(エンタメ、純文学問わず)方面では「新潮ケータイ文庫」「文庫読み放題」といった携帯小説配信サービス発以外でのウェブ小説書籍化の動きは、2000年代後半~2010年代にかけては、きわめて鈍かったように思われる。
 むろん、ブログサービス「はてなダイアリー」(現はてなブログ)上で「ハックルさん」と呼ばれていた(「ハックルベリーに会いに行く」というタイトルでブログを運営していた)作家の岩崎夏海が2008年7月11日に書いた同名記事がバズを引き起こすと、それを加筆修正した小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーを読んだら』が2009年12月にダイヤモンド社から刊行され、2010年代初頭に一大ブームを巻き起こした、という例はある。
 当時はほとんど強調されなかったが、『もしドラ』も「ウェブ小説書籍化」の一例である(元の記事はきわめて短く、書籍版で大きく膨らませてはいる)。ただ、同作は版元から推察されるように「小説」としてというより「ビジネス書」として企画されたものだった。

 一方、ライトノベルでは『AW』『SAO』刊行と時をほぼ同じくして09年に伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(08年8月シリーズ開始)に登場する桐乃や黒猫のTwitterアカウントが作られ、ウェブ上の感想を逆書評する企画を実施したり、09年9月から刊行された新城カズマ『15×24』(スーパーダッシュ文庫)のプロモーションにTwitterが活用される(本文の連載など)といった動きがあった
 『俺妹』や『15×24』は直接的に「ウェブ小説を書籍化する」ものではなかったが、ラノベジャンルのネットとの親和性を示すものであり、一般文芸よりも相対的に業界関係者および読者にウェブコンテンツへの忌避感が少なかったことがわかる。
 こうした下地があってこそ、よくもわるくもラノベが2010年代にウェブ小説を貪欲に摂取し、なろうやアルファ発の「ウェブ小説もライトノベルとみなされる」という変化を引き起こすことにつながっていく
 とはいえ2010年代初頭までは文庫ではなく四六判またはB6判単行本がウェブ小説書籍化の主戦場になっていくのだが――それはまた別の回で触れることにしよう。

 2000年代後半にはウェブ小説書籍化の動きが活発化し、実績が積み重ねられていったが、そこでは広義のライトノベルは決して主役ではなかったし、この時期のなろうは、萌芽はあったとはいえ「異世界転生(ばかり)のサイト」ではなかった。
 そして第二次ケータイ小説ブームがなければ『王様ゲーム』もなく、エブリスタもなかったかもしれないし、双葉社がウェブコンテンツの書籍化に強い会社になることもなかったかもしれない

 2010年代にウェブ小説書籍化を巡って起こる諸々の現象、圧倒的な勢力拡大の要因は、2000年代後半までにかなりの程度準備されていたとはいえ、歴史の偶然が作用した面も大きい。
 なろうをいわゆる「なろう系」が席巻し、それがライトノベルとみなされるようになるのは、2000年代後半から2010年代初頭までの数年間に、たまたまいくつかの出来事が重なったからにすぎない
 流行にしろ人気のサイトにしろ、10年単位で見れば驚くほど移り変わっているし、これからも変わっていくだろう。

 2010年代前半には毎年のように大きな出来事があり、それらが今にいたるウェブ小説書籍化の「定石」「常識」をかたちづくっていくことになる。


画像1

『つがいの歯車』
著者:時生彩 イラスト:二星天 イースト・プレス
「……俺に、どうして欲しい」
雪の舞う成人式の日、会場に向かう途中でうっかり足を滑らせ意識を失ったカナエ。気がつくと何故かそこは異世界だった……! しかも、救ってくれた優しい貴族の熱心なすすめで、落ち着く間もなく結婚することに。相手はなんと、容姿端麗、完全無欠、みんな憧れてやまない、この国の若き皇帝サマ!!
愛のない義務としての結婚と理解しつつも、感情すら感じられない皇帝サジエルの瞳に苛立ちをおぼえるカナエ。そして迎えた初夜、とうとう我慢の限界がきた彼女のとった行動とは……!? 容姿端麗、完全無欠な皇帝サマとの奇妙な結婚生活の行方は!?

画像2

『王様ゲーム』
著者:金沢伸明 双葉文庫(双葉社)
ある日、高校のクラス32名全員のケータイに”王様”と名乗るものからメールが届いた。
命令は次第にエスカレートし…ついには命を懸けた王様ゲームが始まった! シリーズ累計60万部突破の大人気シリーズ第一弾が、ついに文庫化!

「monokaki」は、エブリスタが運営する「物書きのためのメディア」です。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!