途中で離脱しないで読んでもらうには |エブリスタ便り 10月号|monokaki編集部
「エブリスタ便り」は、小説投稿サイト・エブリスタのスタッフが交代で月1回お届けするコラムです。小説投稿サイトのスタッフならではの知識や見解を使って、皆さんの執筆に役立ちそうなあれこれをお伝えしていきます。
「書き始めたときは10人読者がついたのに、今日は3人……!?」
一体なぜ。もうちょっとで主人公が宿敵とバトルするシーンなのに、このままじゃバトルにたどり着く前に読者が0人になってしまうんじゃないか!?
こんにちは、エブリスタスタッフのきんたろうです。普段はエンジニアです。
ランキング上位の人たちっていつから人気が上がったんでしょう?
1ページめを公開したときでしょうか、それとも100ページめの更新で急にランキングを駆け上がったりしたのでしょうか。人気が出るまでは我慢して書き続けたのでしょうか。
それとも公開する前から人気作家さんだった人しかランキング上位には行けないのでしょうか? その場合その人はいつから人気が出たのでしょうか(にわとりたまご問題です)。
僕もほかのスタッフ同様エブリスタでこっそり書いているわけですが、書けば書くほど読者が減っているような気がするんです。
途中で離脱しないで、最後まで読んでもらうにはどうしたらいいんでしょう。
やっぱり主人公のあのセリフが反感を買ったのかな。でもあのセリフは、主人公の秘密につながる伏線なんだよな~。
うーんうーんと唸っている僕の肩をトントンと叩く人がいました。
???:その悩み、データで解決できるかもしれんぞ?
きんたろう:あっ、あなたは! エブリスタのデータを管理している人物、通称データ仙人! 「読み専さんの記事」にも出てきた人だ!
データ仙人:昔のマンガみたいな説明セリフを喋る奴じゃのう。投稿作品の文章も不自然なんじゃないかね?
きんたろう:ぐっ……と、ところで、データで悩み解決? 僕の悩みはデータでは無理だと思いますよ。作品の内容の問題ですから。
教えてデータ仙人1「どのページでみんな離脱するの?」
きんたろう:でも、読者さんがどのページまで読んで離脱するのかは気になるな……。だいたい2~3ページぐらい読んで、合わなければやめるって人がほとんどなんじゃないかと思うけど。
データ仙人:このグラフを見てみるのじゃ。
図1:10ページ目まで読み続けた人の数
※20,000字以上の作品に限る。
データ仙人:ページが増えるほど離脱者が増えるのはわかるな? じゃが、他が5%ぐらいずつ落ちているのに、1ページ目と2ページ目の間には25%の落差があるのう。
きんたろう:ほんとだ! つまり、1ページ目が分かれ道。そこで読者を引きつけることができれば、そのあとはあまり読者さんを失わず、最後まで読んでくれる人も増やせる! よし、ランキング上位の作品の1ページ目を片っ端から読んで研究してみよう。
教えてデータ仙人2「作品情報って関係あるの?」
きんたろう:第一印象が大事だということがよくわかりました。でも、それならあらすじやキャッチコピーも関係するんじゃないですか? あらすじがめちゃくちゃ面白そうだったら、多く読んでもらえそうな気がする。
データ仙人:ふむ。あらすじやキャッチなどの作品情報の有無と、最後まで読んだかどうかの相関を出してみたが……関係なかったのじゃ。
きんたろう:ええっ!
データ仙人:作品を開いてもらうまでは作品情報が大切じゃぞ(詳しくはこちらじゃ)。しかし、読み続けてもらえるかどうかは本文にかかっていると言えるのう。
教えてデータ仙人3「すぐできる簡単な裏ワザってないの?」
きんたろう:本文の1ページめを頑張る以外に、何かすぐできる裏ワザとかないですか?
データ仙人:単刀直入な奴じゃのう。お前の作品を見せてみろ。ほうほう、1日で50ページの完結済み中編を一気にアップしているのう。
きんたろう:筆が乗って夢中になってたら一気に最後まで書けちゃったんですよ! すごいでしょう。でもこの作品、いまいち読者数が伸びなかったなあ。
データ仙人:これを見るのじゃ。「3ヶ月間にどのくらい更新したか」と、最後まで読まれたかどうかの関係じゃ。
図2:更新頻度と読了率
きんたろう:えっ、更新頻度でちょっと違う!?
データ仙人:3ヶ月に10回……つまり、週1回以上更新する作品と、そうでない作品の間には差があるのう。更新は読者にも通知が行くから、途中で本棚に入れた人に思い出してもらいやすくなる可能性が高まるのじゃ。
きんたろう:書いちゃった作品を後から更新するのって面倒だな……。
データ仙人:公開予約機能を使うといいぞい。
データは人の行動軌跡
きんたろう:つまり、最後まで読んでもらうためには……
●1ページめに力を入れる
●週1回以上のペースで更新する
このふたつで差を付けられるということか。
データ仙人:そうじゃの。最初におぬしが言った通り、読み続けてもらえるかどうかに一番重要なのは作品の中身じゃ。しかし、儂が見ているデータは人の行動の軌跡じゃからの。必ずデータで見えてくることがあるはずなのじゃ。
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