「システムにからめ取られない自由」をもとめて|阿部和重と伊坂幸太郎|仲俣暁生
平成はインターネットに代表される情報通信技術が急速に発展し、社会のあり方が大きく変わった時代だった。オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた平成7年はウィンドウズ95が発売された年でもあり、パソコンからインターネットへの接続が容易になった。また平成11年にはNTTドコモが「i-mode」のサービスを開始し、携帯電話からネットに接続する者が爆発的に増えた。
こうした時代背景のもと、小説にも変化が現れる。それは社会の根底にあってその全体を動かすものに対する感受性の変化だ。