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#おもなに
「終わり方」って何ですか?|王谷 晶
最終回! 王谷晶である。そうです、唐突ですがこの連載、今回が最終回なのである。足掛け2年ちょいに渡ってマクロな話からミクロな話まで小説を書くということについて益体もない話をしてきたが、私からお伝えできるテクニックはあらかた披露した。と思う。
あとは効果的な仮眠のとり方(たっぷり水を飲んでから仮眠すると尿意で強制的に目が覚める。ただし眠気が勝った場合は漏らすリスクあり)くらいだ。
ちなみに本連載を単
「伏線」って何ですか?|王谷 晶
一年の半分が終わるぞ! うそでしょ……王谷晶である。さて私は「鼻の穴にLANケーブルを挿している」「白飯にモデムを乗せて食っている」と噂されるほどインターネットに浸って暮らしているので、昨今話題のInstagramなどでの「匂わせ」投稿が話題になると知らん芸能人のでもなんとなく見に行くというネット野次馬根性を発揮してしまう。そして当該の投稿を見るたびに思うのが「伏線がうまい……!」ということである
もっとみる「いいセリフ」って何ですか?|王谷 晶
君の瞳に乾杯……王谷晶である。さて、これを書いている今は3月の末なのだが、掲載時に世の中がどうなっているのか正直さっぱり読めない不安定な現況である。私は神も仏もスパゲッティモンスターも信じないクールなリアリストだが、こういう時には世の平穏を祈らずにはいられない。神仏を信じぬ者が思わず手を合わせるとき、その胸には何が浮かんでいるか? 私が信じているのはBLと小説だ。
BLも小説も、人の腹をいっぱい
「タイトル」って何ですか?|王谷 晶
前前前世から締切や納期に追われている君の名は? 決算月! 王谷晶である。というわけで今回は「タイトル」についてのお話です。タイトルとは、小説の一番外側に掲げる看板。読者がその小説について一番最初に得る情報である。人間で言ったら服装みたいなものですね。けっこうだいじだ。
特に一枚絵のイラストや漫画といった数秒で読者に強くアピールできる要素のない小説にとって、タイトルは大事な第一印象。ここでいかに読
「青春小説」って何ですか?|王谷 晶
青春――何も怖いものなんか無かったあのころ。二月になれば無邪気にバレンタイン・デーを意識し、密かに胸をときめかせていた少女時代。あのときの私はまだ知らなかった。二月は甘いチョコレートの事だけ考えてればいい季節じゃない。大人の二月には、確定申告があることを――。
はい、というわけで王谷晶なんですけどね。本当に中学高校あたりで義務化しておいてほしい、確定申告のやり方と税金についての授業。フリーになっ
「一人称/三人称」って何ですか?|王谷 晶
新年明けましてハッピーニューイヤー、王谷晶である。正月気分も覚めやらぬこの時期、諸君はいかがお過ごしだろうか。一年の計は元旦にあり。私も初心に還って「今年こそは早めに確定申告に手を付ける」と書初めしたところである。というわけで2020年第一弾の本連載、小説を書くときの基本のキ、「一人称/三人称」について改めて語っていきたい。
一人称のメリット・デメリット一人称と三人称とは。黄金期ジャンプで簡単に
「ミステリー」って何ですか?|王谷 晶
雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう Oh……王谷晶である。この業界で何年働いても年末進行のシステムがよく分からない。よく分からないが、髪が全白髪になって今にもサンタさんに変身しそうに忙しい。そんななか当連載担当編集I氏から「次回はミステリーでひとつ」とお題が送られてきた。
正直、この瞬間に脳内にポップアップしてきたのは「めんどくさいお題だな……」である。なぜミステリーについて語るのがめんどくさいの
「推敲」って何ですか?|王谷 晶
本年も残すところあと一ヶ月強となってまいりました。マジで? 王谷晶である。光陰矢の如し、少年老い易く学成り難し、とにかく時間というものは儚い。仕事も学業も何事も一発OKで進めば人生ラクだがそうもいかない。人は間違える。また、気が変わる。何を成しても「やっぱああしときゃよかったな~」と後悔&逡巡を繰り返す生き物である。というわけで今回のお題は「推敲」です。
推敲前のものはお客さんに出せない推敲とい
「センス」って何ですか?|王谷 晶
えーアタシら物書きに必要なものと言いましたらまずは何はなくとも筆記用具でございますな。筆に硯、万年筆に原稿用紙、昨今じゃパショコンなんてぇハイカラなものを使う作家さんも多ござんすね。次に大切なのがそう、これ、こうやってトントンと音を出したり蕎麦をたぐったり、パチッと開いて扇いだり……というわけで毎度ばかばかしいお笑いを一席、王谷晶である。
センスとは選択肢の発見力今回のお題は「センス」。小説の話
「読者受け」って何ですか?|王谷 晶
それが分かれば苦労はしないんだよなあああ……! 王谷晶である。のっけから身も蓋もない叫びで申し訳ないが、ホント、それが事前に分かってたらマジ作家の苦しみの85%くらいは消滅するのでは……? というわけで今回は「読者受け」のお話である。「作家攻め」とかそういう話ではないのでそれを期待した諸君は一度ご着席願いたい。
プロも何がウケるかを考えているプロもアマチュアもジャンルを問わず、多くの創作家は大な
「ホラー」って何ですか?|王谷 晶
箸が転んでもビビり場合によってはチビったりもする三国一の怖がりやさん、王谷晶である。夏といえばホラー、ホラーといえば夏だ。ホラー小説というのは一定数のファンがおり、たまに映画化等メディアミックスも含めたメガヒットも出てくるジャンルである。となればたとえチビりながらでも市場に参入するのが商売人の道。今回は小説で描く恐怖表現について語りたい。
ホラーには二種類の「こわい」がある怪談、サイコスリラー、
「BL」って何ですか?|王谷 晶
「BL」ってなんですか――? このタイトルをタイプして真っ先に口をついて出たのは「……人生?」の一言でした。王谷晶である。BLによって生かされ、BLによって(財布が)死んでいる一介のボーイズラブ愛好家だ。
いきなりだが今回はだいぶ書きにくい。先に言ったとおり私にとってBLというものは「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」としか言い表しようがないからだ。しかし本稿は小説の書き方をレク
「世界観」って何ですか?|王谷 晶
雨音は初版の調べ……王谷晶である。いきなりだが諸君はもう『アベンジャーズ/エンドゲーム』は観たか。
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)一作目である『アイアンマン』(08)から11年間、関連作は全て劇場で鑑賞してきた身としては感無量以外の言葉の出ない堂々たるシリーズ最終作であった。
ところでアベンジャーズシリーズはいわゆる「アメコミ・ヒーロー映画」である。北欧神話の神からパワードスーツを